2005 Fiscal Year Annual Research Report
錯体ポリマーにおけるプロトン伝導体の創製とそのメカニズムに関する研究
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03J00334
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長尾 祐樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロトン伝導 / 配位高分子 / 金属錯体 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であるため、残りの課題となっていた高プロトン伝導錯体における、伝導メカニズムの解明に重点を置いた。 π共役酸塩基性を示すジチオオキサミド系架橋配位子は、窒素位の水素原子を置換することで誘導体を得ることができた。これらの配位子と銅(II)イオンを用いた銅配位高分子は、水分子の吸着等温線から相対温度(RH)の増加と共に含有水分子数が連続的に増加し、最大で銅イオン1個あたり2〜4個の水分子を含有した。配位高分子における水分子含有量は重量パーセント換算でNafion^<【○!R】>におけるそれと比較するとかなり少なく、燃料電池の固体電解質として使用する際に、加湿によるぬれによってプロトン伝導性が低下することを防げる可能性が示唆された。水分子を含有した状態では、拡散反射IRスペクトルから配位高分子内の水分子が水素結合ネットワークを形成することがわかった。 置換基のOH基はGrotthuss機構によりプロトン伝導に寄与していることが^2H NMRスペクトルから推測された。さらに拡散反射IRスペクトルの情報から、置換基が疎水性の場合、含有水分子は凝集することで水分子クラスター内の水素結合が強くなり、反対に置換基が親水性の場合、水分子クラスター内の水素結合が弱くなることがわかった。また、OH基は水分子クラスター間のプロトン伝道に必要なポテンシャルを下げることが示唆された。以上のことから、配位高分子の置換基は水素結合ネットワークの強弱やプロトン伝導性に対して重要な働きをすることを明らかとした。 また、国内外の会議で研究成果の発表を行った。国際会議1件(2005環太平洋国際化学会議)、国内学会4件。
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Research Products
(2 results)