2003 Fiscal Year Annual Research Report
非翻訳型RNAによる転写、及び翻訳レベルでの遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
03J00339
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 吉成 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非翻訳型RNA / 遺伝子発現制御 / RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
枯草菌における非翻訳型RNAによる転写、及び翻訳レベルでの遺伝子発現制御機構を解明することを目的として、以下の3つの重要課題について研究を進めた。 枯草菌において同定した、BS190RNAおよびBS203RNAを含む、9種類の非翻訳型RNAに対して、薬剤耐性遺伝子を用いて完全に還伝子を欠損した株を作製した。これらのRNA遺伝子の欠損が生体機能に与える影響について、そのRNAの非存在下での細胞形態、増殖能、および胞子形成能への影響を調べたところ、BS190RNA遺伝子欠損株において、生育の顕著な低下が見られたが、他の遺伝子欠損株では、野生株と比較して違いは見られなかった。今後は、これらの遺伝子欠損株を用いて、DNAマイクロアレイ解析、及び二次元電気泳動解析により、非翻訳型RNAの転写、及び翻訳レベルでの機能解析を行なう予定である。 BS190RNAおよびBS203RNAについて、ヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて、詳細な二次構造を決定した。その結果、BS190RNAはアンチセンスRNAとして、アミノ酸合成遺伝子オペロンの発現制御を転写レベルで行なっていると考えられるが、その相互作用領域は一本鎖のループ構造からなることが示された。現在、試験管内転写系を構築しており、BS190RNAによる遺伝子発現制御系の詳細について明らかにしていく予定である。また、今回、決定した二次構造の結果から、NMRを用いた高次構造解析へとつなげていく予定である。 RNA結合タンパク質であるYdbRこついて、DEADボックス型RNAヘリカーゼとして機能し、リボソーム50Sサブユニットと相互作用していることを明らかにした。YdbRは生体内において、リボソームの構築過程、もしくは翻訳の調節に関与する可能性が示唆されたので、ショ糖密度勾配遠心法、及びRFHR二次元電気泳動を用いて詳細な解析を行なっていく予定である。
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