2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラット皮質脊髄路の軸索側枝の形成を誘導する因子の同定
Project/Area Number |
03J00358
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 拓也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員 DC1
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Keywords | GeneChip / 皮質脊髄路 / 軸索側枝 / 電気穿孔法 / 子宮内遺伝子導入 / 大脳皮質第5層 |
Research Abstract |
本研究では軸索側枝形成因子の同定を目的としており、これまでのGeneChipを用いたスクリーニングにおいて複数の候補遺伝子を得る事ができている。本年度は主に、子宮内胎仔脳に対する電気穿孔法を用いた、(1)大脳皮質第5層の起始細胞への、候補因子に対する受容体、あるいは受容体のドミナントネガティブフォームの強制発現実験、(2)大脳基底核、間脳における候補遺伝子の異所発現実験、(3)橋核における候補遺伝子の過剰発現実験を行い、in vivoにおける候補遺伝子の機能解析を試みた。その結果、(1)では大脳皮質神経細胞の細胞移動、あるいは細胞接着に影響を及ぼす受容体、あるいは受容体のドミナントネガティブフォームが数種類見つかった。また、(2)ではある候補遺伝子Aの異所発現の結果、間脳レベルで皮質脊髄路軸索が本来の経路よりも背側を走向する異常が観察された。(3)では別の候補遺伝子Bを導入した橋核神経細胞と、他の小脳前核神経細胞の細胞移動に異常が観察された。しかしながら、(1)から(3)を通して、これまでのところ軸索側枝の形成に異常は見られていない。現在は残りの候補遺伝子や、それらに対する受容体、受容体のドミナントネガティブフォームの機能解析を引き続き行っているところである。 また、in vitroにおける機能解析を行うために、ラット大脳皮質組織片培養の確立を試みた。本来橋核への側枝が形成される生後0日目のラット大脳皮質組織片をある条件下で培養すると、組織片からのさかんな軸索伸長が観察された。現在は培養液中に候補因子を投与する事によって側枝形成が誘導されるかどうかを調べている。また、大脳皮質組織片と候補因子を発現する細胞塊との共培養実験を行い、側枝形成が誘導されるかどうかについても調べている。
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