2005 Fiscal Year Annual Research Report
体温調節機構としての延髄皮膚血管運動調節中枢ネットワークの解明
Project/Area Number |
03J00360
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小金澤 禎史 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員 DC1
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Keywords | 体温調節 / 交感神経 / 皮膚血管 / プレモータ・ニューロン / 延髄腹側部 |
Research Abstract |
心血管運動を調節する交感神経の活動様式は常に一様というわけではなく、支配する臓器によって異なるということが知られている。研究代表者は温度感受性のニューロンを含む視索前野・前視床下部の加温刺激に対して、皮膚血管交感神経が抑制性の応答を示し、一方で、内臓交感神経活動が変化しないという末梢交感神経の応答性の違いがその典型的な例であることを示し、また、この応答性の違いが、吻側延髄腹側部に存在するプレモータ・ニューロンのレベルでも見られ、このことから、皮膚交感神経を支配するプレモータ・ニューロンの同定を行い、その結果を報告した。(Koganezawa T, Terui N, Brain Research, 2005) また、さらに低酸素負荷時における末梢交感神経活動の応答を更に解析し、低酸素負荷によって、腎臓交感神経活動は興奮性の応答を示し、一方、心臓交感神経活動は抑制性の応答を示すことを明らかにした、さらに、このときの延髄網様体脊髄路ニューロンの反応を調べたところ、心臓交感神経活動を調節するプレモータ・ニューロンが他の交感神経活動を支配するプレモータ・ニューロンとは異なるニューロングループを形成していることを確認した。 上記知見を含む循環調節中枢ネットワークをより詳細に解明するために、人工脳脊髄液灌流標本を用いた実験を行った。その結果、吻側延髄腹側部に存在する延髄網様体脊髄路ニューロンが、薬理学的にシナプス入力を遮断した後においても自発性の発火を示し、さらに、低酸素負荷によってその活動は末梢の交感神経同様に興奮性の応答を示した。即ち、交感神経のプレモータ・ニューロンはペースメーカ・ニューロンとしての性質と化学受容性を持つことが示された。この結果は、既に国内外の学会において発表されている。
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Research Products
(6 results)