2004 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全をめざす「地産地消」型フードシステムの構築に関する研究
Project/Area Number |
03J00436
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
冨田 敬二 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地産地消 / 交流 / 自治体認証ブランド |
Research Abstract |
安全・安心をめざす取組として、まず、自治体認証制度に基づく生産者の対応状況を大阪府が実施している「大阪エコ農産物」の事例より明らかにした。「大阪エコ農産物」に取り組む専業農家はこの取組を新たなビジネスチャンスと捉え、販路拡大に向けて取り組んでいる。一方、高齢農家や兼業農家は、安全・安心な農産物を消費者に出荷することを目的に「取り組んでいる。「大阪エコ農産物」に取り組むことで、生産者は消費者を意識した農業をおこなうとともに、高価格での販売に至らないまでも安定的な販路を確保できることが明らかになった。 一方、地産地消型フードシステムの構築には、生産者と消費者の関係だけでなく、食品加工業者や小売店も巻き込んだ取組も必要になる。そこで、酒造業者を中心とした地産地消の取組を大阪府のN酒造を事例とし、取組実態と課題について明らかにした。N酒造では、地元の酒造好適米の契約栽培に関わる作業を、生産者・消費者・酒造業者・小売店を交えた交流によりおこなっている。その交流活動により、消費者は農業への理解と酒造りへの理解が深まるとともに、商品への愛着から購買の増加に繋がっているという結果が得られた。しかしながら、交流活動の準備や当日の進行に関わる生産者の負担は大きく、今後は準備や後片づけの負担を少しでも減らすような工夫をおこなうとともに、経済的なメリットを享受できるようにしていく必要があるだろう。このように、食品加工業を介した地産地消の取組は、生産者と消費者の顔のみえる関係をいかに構築していくかが課題であるが、交流イベントを通じて、生産者と消費者および食品加工業者や小売店も顔のみえる関係が構築できているといえる。 よって、地産地消型のフードシステムの構築には顔のみえる関係をいかに構築するかが重要であり、政策的な支援はもちろんのこと、交流活動などを積極的におこなっていく必要があると考えられる。
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Research Products
(3 results)