2005 Fiscal Year Annual Research Report
高リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス複合体を用いた全固体電池の創製
Project/Area Number |
03J00467
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 史教 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リチウム二次電池 / 固体電解質 / ガラスセラミックス / 硫化物 / 無機-有機ハイブリッド |
Research Abstract |
本年度は、Li_2S-P_2S_5系ガラスセラミックスにおける析出結晶相と導電率および局所構造の関係を明らかにするとともに、Li_2S-P_2S_5ガラスと種々の有機ポリマーによる無機-有機ハイブリッド電解質に対して、ポリマーの種類や添加量がイオン伝導性に及ぼす影響について調べた。さらに、得られたガラスセラミックスを固体電解質に用いて全固体リチウム二次電池を構築した。 Li_2S-P_2S_5二成分系において、種々のリチウム濃度を有するガラスから初晶として固相反応では得ることのできない準安定結晶が析出し、熱処理温度の上昇とともに熱力学的な安定結晶へ変化することを見出した。ガラスの熱処理条件を最適化することによって、PS_4^<3->を主骨格とするLi_4GeS_4-Li_3PS_4系thio-LISICON類似結晶やP_2S_7^<4->を主骨格とするこれまでに報告例のない新規結晶が析出し、室温での導電率が10<-3>Scm^<-1>を超えるガラスセラミックスの得られることを明らかにした。 一方、ポリエーテル系の代わりにアルカンジオール類を用いて、新規なハイブリッド電解質を合成した。得られた試料にはP-O-C結合に帰属できるバンドが確認され、ガラスとアルカンジオールのハイブリッド化していることが示唆された。2mol%の1,4-butanediolを添加した場合、ガラス転移温度はガラスに比べて約40℃低下し、ガラスよりも高い9.7x10^<-5>Scm^<-1>の室温導電率が得られた。また、リチウムイオン輸率はほぼ1であり、可逆なリチウムの溶解析出が可能であることや5V以上の広い電位窓を有することもわかった。 得られたLi_2S-P_2S_5系ガラスセラミックスを固体電解質に用いてバルク型全固体電池を構築したところ、1mAcm^<-2>以上の高い電流密度下においても充放電可能であり、リチウム二次電池して機能することがわかった。
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