2003 Fiscal Year Annual Research Report
両生類の水適応におけるアクアポリン分子の多様性とその発現調節機構
Project/Area Number |
03J00506
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長谷川 敬展 静岡大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アクアポリン / 両生類 / 抗利尿ホルモン / 水代謝 / 腹側皮膚 / 膀胱 / 膜輸送 |
Research Abstract |
アクアポリン(aquaporin:AQP)は水チャネルであり,水代謝調節のキー分子として役割を果たしている。様々な水環境に適応する両生類にとって,AQPを介した水代謝調節は生存に必要不可欠であることが想定される。特に,無尾両生類の腹側皮膚や膀胱は,抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone:ADH)の作用で水吸収量が調節されることから,体内の水バランス維持に重要な器官である。本研究は,両生類のこれら器官における水代謝調節機構や,水環境への適応におけるAQPの役割を解明するために計画された。アマガエルの腹側皮膚からクローニングした3種のAQP(Hyla AQP-h1,AQP-h2およびAQP-hS)のうち,AQP-h3は腹側皮膚にのみ発現し,腹側皮膚からの水吸収に重要な役割を持つことは既に報告した。平成15年度は,両生類の4DH調節性AQPの同定およびAQP膜輸送におけるリン酸化の影響を解明することを主として計画・実施した。まず,AQP-h2タンパク質に対する抗ペプチド抗体を作製し,AQP-h2タンパク質が腹側皮膚および膀胱に発現していることを免疫組織化学的に示した。また,in vitroで腹側皮膚にADHを作用させると,AQP-H2およびAQP-H3の両方が最外顆粒層の顆粒細胞アピカル膜に局在するようになることを示し,これらAQPが両生類のADH依存性AQPとして腹側皮膚からの水吸収調節に重要な役割をもつことを明らかにした(Endocrinology 144:4087-4096,2003)膀胱においてもAQP-h2がADHにより顆粒細胞のアピカル膜に輸送されることを見出しているので,両AQPの抗リン酸化ペプチド抗体を作製し,現在,腹側皮膚および膀胱のAQP膜輸送に対するリン酸化の影響を検討している。
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[Publications] Takahiro Hasegawa: "Regulation of Water Absorption in the Frog Skins by Two Vasotocin-Dependent Water-Channel Aquaporins, AQP-h2 and AQP-h3"Endocrinology. 144(9). 4087-4096 (2003)
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[Publications] Takahiro Hasegawa: "Spatial and Temporal Expression of the Ventral Skin Aquaporins during Metamorphosis of the Tree Frog, Hyla japonica"Journal of Membrane Biology. 199(In press). (2004)