2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00508
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
保坂 稔 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 緑の党 / シュヴァーベン地方 / 敬虔主義 / 野外自主幼稚園 / 単位 / 社区 |
Research Abstract |
今年度は、研究目的どおり、実証研究を集中的に行い、環境保護意識が高まる背景について検討した。ドイツ緑の党について触れているU・リンゼは、同党の思想的中心地として、ヴァーデン・ヴェルテンベルク州、とりわけシュトゥットガルトを挙げている。そしてリンゼが注目する思想とは、「敬虔主義」であるわけだが、この学術レベルの文献で言及されていることが正しいのか否かを、当事者たちに調査を実施することで明らかにした。ドイツ人は質問紙調査に抵抗があることが研究の結果明確となったため、同党の意見を代表することができる人物に聞き取り調査を実施した。対象は、現在82歳で緑の党結成当時から関与しているシュトゥットガルト在住のブレインと、87年から91年までヴァーデン・ベルテンベルク州代表の2人であった。結果は、2人ともシュヴァーベン地方の特殊性は認めたが、具体的には生活基盤の豊かさであるということであった。「敬虔主義」についてはまったく別の思想的立場であって、リンゼの主張は誤解であることが明らかになった。 また環境先進国といわれるドイツの思想を参考にして、日本において野外自主幼稚園を実施している保護者たちに、幼稚園開園の経緯、動機、問題点などを聞くことができた。 さらに今年度は、環境保護意識の高まりの比較研究という観点から、近年経済発展が著しい中国における数量的調査からの解明も試みた。北京市の一般市民を対象に、無作為抽出で700票を回収することができた(配布回収法)。結果は、旧来の職場「単位」が「社区」に変わりつつある現在、「社区」に参加しようとしている人のほうが環境保護意識が高いことが明らかになった。いってみれば、新たな「コミュニティ」の形成が、環境保護意識を高めているといえる。以上の研究は、現在分析をしている段階であり、来年度に研究発表する予定である。
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