2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00549
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仲山 茂 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 漢代 / 地域性 / 地方官 / 戦国 / 銀雀山漢墓出土簡牘 / 春秋左氏伝 |
Research Abstract |
本年度においては、主に漢代における郡県の地域性の検討を行った。その結果、前漢では旧戦国諸国単位で大まかな地域性把握が行われていたものの、後漢になるとこうした傾向は次第に見られなくなること、かわって州や郡単位での地域性把握が一般的になっていくことが明らかとなった。各地に赴任する地方官も、前漢では旧戦国諸国の枠組みをある程度意識した統治を行い、彼らの治績もそれに応じたものとなっているが、後漢になるとこうした傾向は退潮し、州などのより広域的な地域単位を念頭に置いた統治がみられるようになることが確認された。これらの研究成果については現在公表準備中である。 さらに近年増加している簡牘・帛書などの出土文字資料は、従来とは異なる方向からの地域性の検討を可能にしている。本年度においては銀雀山漢墓から出土した簡牘の検討を行った。銀雀山漢墓は旧斉国地域に位置する前漢武帝期の墓葬であるが、検討の結果、ここから出土した簡牘類の多くに旧斉国の影響がみられること、すなわち旧戦国諸国の地域的枠組みが前漢武帝期頃までは確実に維持されていることが確認された。この成果の一部は訳註作業の一環として公表した。 また、漢代の県の前身を先秦文献の中に求める作業はすでに1960年代に木村正雄氏が行っているものの、そこでは清朝考証学の成果を十分利用するには至っておらず、また考古学的発掘や近年の研究蓄積も木村氏の作業の見直しを迫っている。そのため、漢代の県と先秦時代の邑との継承関係を再検討するために、戦国時代に成立したとされる『春秋左氏伝』を主対象に、諸邑の位置比定と特徴把握の作業を現在行っている。
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Research Products
(1 results)