2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルハイブリッドシミュレーションを用いた惑星電磁圏結合過程の研究
Project/Area Number |
03J00564
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺田 直樹 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金星 / 火星 / 電離圏界面 / 物質輸送 / 運動量輸送 / 粘性過程 / イオン流出 / 大気進化 |
Research Abstract |
太陽風と惑星電離圏との境界領域である電離圏界面における結合過程および輸送過程を調べるために、グローバルハイブリッドモデルを用いた数値実験による研究を行った。特に、金星の電離圏界面における物質と運動量の輸送過程の議論とその輸送量の定量的な見積もりを行った。その結果、太陽風の動圧が電離圏圧力のピーク値より低いときには、運動量の輸送は主にケルビン-ヘルムホルツ不安定性を介した粘性的な過程により成されており、物質の輸送においても不安定性の発達領域における物質拡散および不安定性を引き金とした電離圏プラズマ雲の放出が重要な役割を果たすことを示した。また、太陽風の動圧が電離圏圧力のピーク値よりも高いときには、ケルビン-ヘルムホルツ不安定性は発達せず、中性大気との衝突や化学反応過程によって生じる粘性過程が物質および運動量の輸送において支配的な役割を果たすことを示した。 また、惑星からのイオンの流出率の見積もりについても研究を行った。金星におけるイオンの流出においては、電離圏界面における粘性過程が支配的な役割を果たしており、従来考慮されてきたピックアップ過程による流出率の約1〜5倍程度大きな値となることを示した。これらの結果は、国内および国際学会で発表し、Advances in Space Research誌に投稿・受理された。 火星におけるイオンの流出についても研究を行ったが、火星においては過去35億年間にわたる水の流出量の積分値を求めるべく、過去の太陽パラメタおよび大気モデルをインプット値に用いた計算を行った。その結果、以前の研究者により求められた水流出量と比較して1/2〜1/8ほど小さな値が得られた。この値の差は、本研究で用いた数値モデルが包括的かつ自己矛盾の無いモデルであることに依っており、太陽風の上空での減速によって実効的な電離圏界面の高度が高くなることに依ることを示した。この結果は、現在論文の投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Terada, N., H.Shinagawa, S.Machida: "Global hybrid model of the solar wind interaction with the Venus ionosphere : ion escape processes"Advances in Space Research. (In press). (2004)
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[Publications] Yamazaki, A., I.Yoshikawa, N.Terada, M.Nakamura: "EUV imaging of near-Venus space"Advances in Space Research. (In press). (2004)
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[Publications] Terada, N., H.Shinagawa, T.Abe: "Escape of plasma and atmosphere from Venus"日本惑星科学会誌. (In press). (2004)
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[Publications] Machida, S., T.Ono, N.Terada: "Plasma particle and wave environment around Venus"日本惑星科学会誌. (In press). (2004)
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[Publications] Sugiyama, T., N.Terada, T.Murata, Y.Omura, H.Usui, H.Matsumoto: "Vectorized particle simulation using 'LISTVEC' compile-directive on SX supercomputer"情報処理学会誌. (In press). (2004)
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[Publications] 寺田 直樹: "惑星50のなぜ"太陽出版株式会社. 68 (2004)