2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00566
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平下 博之 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銀河 / 赤外線 / 星間物質 / 星形成 / 星間塵 |
Research Abstract |
本研究では、宇宙論的時間スケールにわたる「銀河の進化史」---即ち銀河の生い立ち---の解明を目指す。可視域ではダストによる吸収(減光)という不定性を常に考慮しなければならない。ダストに吸収されるエネルギーは全輻射エネルギーの半分程度にもなり、最終的に「遠赤外域」(波長〜30--300μm)で熱再輻射される。従って、銀河の輻射エネルギー全体を把握するためには遠赤外輻射源であるダストの進化モデルが必要不可欠となる。幸い、赤外線天文衛星ASTRO-Fによる全天サーベイにより、近い将来、遠赤外域でも大サンプル・高感度で銀河進化を検証できるようになる。 本年度は、将来観測により検出が目指される形成直後の銀河に着目した理論的研究を行った。まず、観測的検証が詳細にできる近傍銀河のうち、最も初期の進化段階にあると思われるblue compact dwarfと呼ばれる種族について、重元素量、ダスト量、遠赤外光度などの進化を理論的にモデル化し、観測と比較検討した。特に、星形成領域が小さく、ガスの密度の大きい状態では、超新星によって供給されるダストが紫外線を有効に吸収し、ガスの加熱を妨げることを明らかにした。これは、高赤方偏移に多く存在する原始銀河に特徴的な物理状態では、星形成活動の必要条件(星によるガスの加熱が有効に起こらないこと)が満たされることを示唆する。つまり、ダストは爆発的星形成(スターバースト)を助ける可能性がある。 さらに、原始銀河で予想されるダストの成分に基づき、減光曲線を計算した。この減光曲線は現時点で原始銀河に最も近い遠方銀河の一つで得られた観測をよく説明できる。このことは我々のダストモデルが原始銀河のダスト汚染をよく記述していることを示唆する。
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Research Products
(3 results)