2004 Fiscal Year Annual Research Report
塩ストレス下での細胞壁の構造強化におけるプロリンとその輸送体の役割に関する研究
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03J00631
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 晃弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 塩ストレス / プロリントランスポーター / アラビドプシス / オオムギ / プロリン |
Research Abstract |
前年度に引き続き、オオムギプロリントランスポーター(HvProT)遺伝子を過剰発現させたアラビドプシスのストレス耐性の解析を行った。 過去の報告で酵母変異株を使った実験からHvProTは細胞質膜に存在し、細胞外からプロリンを取り込む輸送体であると推察されている(Ueda et al.,2001)が、これまでに直接的な証拠が得られていない。そこでまず緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を使って、HvProTタンパク質の細胞内局在性について検討した。タバコの培養細胞BY-2およびアラビドプシスにHvProT-GFP遺伝子を導入したところ、双方で細胞質膜に存在することが明らかになった。ところがHvProT-GFP遺伝子を導入したBY-2細胞はコントロール細胞(GFP遺伝子のみを導入した細胞)と比較して、顕著な生長速度の減少が、見られ、液胞の巨大化が観察された。これは前年度報告したように、HvProT形質転換アラビドプシスが非ストレス条件下では野生株と比較して生長量が減少することと関連する観察結果である。 次に、塩ストレス下で植物の根がどのような反応を示すのかをマイクロアレイ解析で調べた。材料にはRNA量がアラビドプシスよりも多く得られるオオムギを使った。その結果、いくつかのプロリンリッチプロテイン(Proline Rich Protein, PRP)遺伝子の発現量の増加が見られた。PRPは細胞壁成分として機能していることがすでに報告されているが、HvProTの発現部位やPRPの局在部位などの解明については今後の課題である。
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[Journal Article] Osmotic stress in barley regulates expression of a different set of genes than salt stress does.2004
Author(s)
Ueda, A., Kathiresan, A., Inada, M., Narita, Y., Nakamura, T., et al.
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Journal Title
Journal of Experimental Botany 55
Pages: 2213-2218
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[Journal Article] Arabidopsis C-terminal domain phosphatase-like 1 and 2 are essential Ser-5-specific C-terminal domain phosphatases.2004
Author(s)
Koiwa, H., Hausmann, S., Bang, W.Y., Ueda, A., Kondo, N., et al.
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Journal Title
Proceeding of National Academic of Science of USA 101
Pages: 14539-14544
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