2004 Fiscal Year Annual Research Report
作物における塩輸送に関する分子機構の解明と耐塩性強化
Project/Area Number |
03J00632
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三屋 史朗 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 塩ストレス / 耐塩性機構 / 塩輸送 / シロイヌナズナ / イネ / RCI2A / PMP3 |
Research Abstract |
植物が塩にさらされると、塩が体内に吸収・蓄積して障害が引き起こされる。塩の吸収・輸送活性は、膜に局在する塩輸送体や膜内外の電気化学的勾配により調節されるため、その調節に関与する因子の同定や機構の解明が重要である。酵母の細胞膜局在タンパク質PMP3は、細胞膜H^+-ATPaseとは異なった細胞膜の電気的勾配の制御に関与し、塩吸収を調節すると報告されている。昨年度はイネおよびシロイヌナズナにおけるPMP3相同遺伝子(それぞれOsPMP3,RCI2)を単離し、植物のPMP3相同遺伝子群が塩ストレスや様々な環境ストレスに応答して発現が誘導されることを明らかにした。そこで本年度は、特にシロイヌナズナRCI2Aに注目し、T-DNA挿入により遺伝子を破壊したrci2a変異株を用いて植物の耐塩性機構におけるRCI2Aの生理的役割を調べた。結果を以下に示す。 1)高NaCl処理下では、rci2a変異株は野生株に比べてより多くのNa^+を根に蓄積し、生長が顕著に抑制された。 2)rci2a変異株は過剰なKClやLiCl存在下でも野生株に比べて生長が顕著に抑制された。 2)過剰なMgCl_2,CaCl_2,mannitolまたはsorbitolにより野生株とrci2a変異株両方の生長が抑制されたが、減少程度には差がなかった。 以上の結果より、RCI2Aは過剰なNaClストレス下においてNa^+の吸収を制限することによって耐塩性に貢献していることが示された。さらにRCI2Aは過剰なK^+およびLi^+よるストレスへの耐性にも重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)