2005 Fiscal Year Annual Research Report
作物における塩輸送に関する分子機構の解明と耐塩性強化
Project/Area Number |
03J00632
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三屋 史朗 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手
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Keywords | 塩ストレス / 耐塩性機構 / 塩輸送 / シロイヌナズナ / イネ / PMP3 |
Research Abstract |
PMP3を用いた作物の耐塩性強化を目的として、(1)イネにおけるPMP3の発現様式および過剰発現イネを用いた機能の解析、および、(2)RCI2A過剰発現シロイヌナズナにおける耐塩性評価、を行った。結果を以下に示す。 (1)イネにおけるPMP3の発現様式および過剰発現イネを用いた機能の解析 1)イネから7個のOsPMP3遺伝子群を単離した。特にOsPMP3-3,-4,-5遺伝子は様々な環境シグナルによりその発現が誘導・調節された。 2)OsPMP3遺伝子は葉では葉肉細胞、根では側部根冠細胞において発現が見られた。 3)CaMV 35Sプロモーターを用いてOsPMP3過剰発現イネを作出したところ、高塩濃度存在下で、地上部で塩の蓄積が減少し、成長抑制が緩和された。 (2)RCI2A過剰発現シロイヌナズナにおける耐塩性評価 1)CaMV 35Sプロモーターを用いてRCI2A過剰発現シロイヌオズナを作出したところ、高塩濃度存在下で、地上部の塩の蓄積が減少し、成長抑制が緩和された。 2)さらに過剰発現株では、塩ストレスによる過酸化水素の組織内生成量の増加が抑えられ、野生株に比べて過酸化脂質の増加やクロロフィルの減少などの酸化ストレス障害が緩和された。 以上の結果より、植物においてPMP3が塩ストレス時のNa^+の過剰蓄積の抑制に関与することが示された。さらにPMP3遺伝子の発現量を増加させることは、植物体内への塩の流入を減少させ、結果的に活性酵素の生成や塩ストレス障害を抑制させることより、作物の耐塩性向上に有効な手段であることが分かった。
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Research Products
(5 results)