2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓と神経の発生及び再生に関与する遺伝子の探索及びその機能の解明
Project/Area Number |
03J00642
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎本 篤 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Akt / アクチン / GDNF / Ret / 細胞運動 / RNA干渉法 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
本研究の目的は腎臓および神経系の発生に重要な役割を果たしているRETチロシンキナーゼ型受容体とそのリガンドであるGDNFのシグナル伝達系の機能をより詳細に解明することである。GDNF-RETシグナル伝達系の下流では様々なシグナル分子が活性化され、細胞の分化・生存・増殖・運動に関わっていることが明らかにされている。RETあるいはGDNFのノックアウトマウスの解析により、本シグナルは腎臓および神経系の発生に必須であることが報告されている。昨年度は本シグナル伝達系の下流で活性化されるセリン・スレオニンキナーゼであるAktの機能をさらに解明するために、Aktの新規結合タンパク質(Girdinと命名)を酵母two-hybrid法を用いて同定した。これまでGirdinはアクチン骨格と共局在する分子であり、ストレスファイバーやラメリポディアといったアクチン構造の形成に必須であることを明らかとした。本年度はGirdinの生物学的意義とAktの機能との関連をさらに明らかにするために以下の検討を行った。 (1)GirdinのC末端領域にAktのリン酸化モチーフが存在したため、GirdinがAktの新規基質となる可能性を検討した。GirdinのC末端領域を大腸菌発現系を用いて精製し、これが精製されたAktによってリン酸化されるかどうかをin vitro kinase assayを用いて検討したところ、このC末端領域がリン酸化された。 (2)Girdinがin vivoにおいてもAktによってリン酸化されているかどうか検討するため、Girdinのリン酸化抗体を作成した。COS7細胞においてEGF刺激によって内因性のAktを活性化させると、内因性Girdinのリン酸化が本抗体を用いたウエスタンブロットによって確認された。 (3)リン酸化されたGirdinの局在を調べるために、リン酸化抗体を用いて免疫染色を行った。EGF刺激下においてリン酸化されたGirdinは移動する細胞の先端部に存在することが明らかとなった。 以上の結果により、Girdinは細胞内においてAktによってリン酸化され、その局在を変化させることが明らかとなった。今後はAktによるリン酸化が細胞内においてどのような生物学的現象に関わっているか、その意義を検討する計画をたてている。
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