2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓と神経の発生及び再生に関与する遺伝子の探索及びその機能の解明
Project/Area Number |
03J00642
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎本 篤 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Akt / Ret / GDNF / RNA干渉法 / 細胞骨格 / アクチン / Girdin |
Research Abstract |
本研究の目的は腎臓および神経系の発生に重要な役割を果たしているRETチロシンキナーゼ型受容体とそのリガンドであるGDNF(glial cell-derived neurotrophic factor)のシグナル伝達系の機能をより詳細に解明することである。GDNF-RETシグナル伝達系の下流では様々なシグナル分子が活性化され、細胞の分化・生存・増殖・運動に関わっていることが明らかにされている。昨年度まではGDNF-RETシグナル伝達系の下流で活性化されるセリン・スレオニンキナーゼであるAkt1の機能をさらに解明するために、Akt1の新規結合タンパク質(Girdin)を酵母two-hybrid法を用いて同定した。これまでの実験により、Girdinはアクチン骨格と共局在する分子であり、ストレスファイバーやラメリポディアといったアクチン構造の形成に必須である分子であることを明らかとした。またGirdinはAktによってリン酸化されると移動する細胞の先端部に局在を変化させることが明らかとなった(Enomoto A, et al. : Developmental Cell(2005)9:389-402)。 本年度は神経系あるいは個体におけるGirdinの機能を明らかにするために以下の実験を行った。 (1)RET-GDNFシグナル伝達系におけるGirdinの機能を解析するために、RET受容体を内因性に発現しているTGW神経芽細胞腫の細胞株を用いてGirdinのsiRNAによるノックダウンの影響を検討した。TGW細胞ではGDNFに反応して神経突起の伸長が観察されるが、Girdinをノックダウンするとその突起伸長が阻害された。同様の実験をPC12D細胞およびラット海馬の初代培養神経細胞で行った。 (2)Girdinのノックアウトマウスを作製するためにターゲティングベクターを作製した。現在、ターゲティングベクターにより組換え済みのES細胞を作製している。 (3)Girdinの機能をさらに包括的に検討するために、Girdinのホモログ遺伝子であるDapleについて細胞生物学的機能の解析を進めている。これまでにDapleの全長cDNAのクローニングを終了し、Dapleに対するポリクローナル抗体を作製した。
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Research Products
(1 results)