2003 Fiscal Year Annual Research Report
タウ粒子を用いたレプトンのフレーバーを破る崩壊の探索
Project/Area Number |
03J00673
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
保久上 隆 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タウ粒子 / レプトン / フレーバー |
Research Abstract |
茨城県つくば市高エネルギー加速器研究機構にある加速器を用いた素粒子実験BELLE実験において取得されたデータを使用し、タウ粒子を用いたレプトンのフレーバーを破る崩壊の探索を行った。また、BELLE実験に用いられている中央飛跡検出器の保守、維持作業を行った。 1、タウ粒子を用いたレプトンのフレーバーを破る崩壊の探索 86.3fb^<-1>のデータを使用し、τ→μγ崩壊の探索を行った。バックグラウンド事象で支配的であるμμ事象を更に効率よく除去するため、使用している粒子(2荷電粒子と光子)の全エネルギーを用いた制限を採用し、シグナル事象を損失せず、ターゲットにしているバックグラウンドの除去に成功した。また、期待されるシグナル事象の崩壊分岐比を得る為に、バックグラウンド事象、シグナル事象の分布を関数化し、得られる事象数をシグナル数、タウ粒子の崩壊に寄与する事象数、μμ事象に寄与する事象数、μ粒子の非検出効率の関数とし、これをExtended Maximum Likelihood法に適応させて2次元fitを行い、期待されるシグナル事象数を導出した。それにより崩壊分岐比の上限値を90% Confidence Levelで3.1×10^<-7>と決定した。これはこれまでの結果をほぼ一桁下げた結果となっている。現在、PRL(Physics Review Letters)に投稿し、審査中である。 2、央飛跡検出器(CDC)の保守、維持作業 昨年夏、更なる高いイベント頻度に耐えることができるようにするため、最内層から2層を1cm×1cmのsmall cell構造に変更したsmall cell drift chamberを作成し、BELLE検出器に導入した。同時に、S/Nを向上させるため全chのグランド強化を行った。また、粒子識別をCDCでのエネルギー損失(dE/dx)を用いて行い、イベント頻度が増えた現在においてもこれまで同様の性能を維持している。
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