2003 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴トンネル論理素子を用いたΔΣADコンバータの研究
Project/Area Number |
03J00738
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 雄司 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共鳴トンネル / ADコンバータ / InP / InGaAs / InAlAs / HEMT |
Research Abstract |
共鳴トンネルダイオード(RTD)は700GHzの発振や、THzを超える応答性が報告されている超高周波デバイスであり、最も実用に近い量子効果デバイスとして期待されている。我々はこれまで、高速・高機能な論理素子MOBILE (Monostable-Bistable Transition Logic Element)を提案し、その特長の一端を示してきた。本研究は、その成果を基に、従来技術では不可能な超高速集積回路技術を開拓することを目指している。 ここでは、MOBILEの特徴を生かせるapplicationとしてΔΣ型A/Dコンバータに関する研究を進めた。これはMOBILEが理想的なコンパレータ特性を持つという特徴を利用したものである。まず、ΔΣA/DコンバータのキーコンポーネントであるΔΣ変調器のプロトタイプを設計した。回路は非常に少ない素子数(トランジスタ5、共鳴トンネルダイオード2、容量1)で実現でき、MOBILEを用いた効果が現れている。また、この回路は、従来、サンプリングレートを制限してきたフィードバックループの構成を大幅に簡単化できるため、将来的には非常に高速なサンプリングレートの実現が可能と考えられる。 次に上記回路を共鳴トンネルダイオード・高電子移動度トランジスタの集積化技術を用いて試作した。この際、最も問題となったのが容量に用いる絶縁膜堆積にともなう、トランジスタ特性の劣化である。検討により、この劣化は基板表面からフッ素が拡散し、ドナーを不活性化することが原因であることを明らかにした。これを防ぐためにプロセス工程、条件の見直しを行い、良好な特性の素子を集積化するためのプロセス技術を確立した。試作した回路に関して4GHzにおける測定を行い、入力電圧のパルス密度への変換、入出力の線形性を確認し、上記設計の有効性を示した.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Yokoyama, Y.Ohno, S.Kishimoto, K.Maezawa, T.Mizutani: "Experimental Demonstration of a Resonant Tunneling Delta-Sigma Modulator for High-Speed High-Resolution Analog-to-Digital Converter"Institute of Physics Conference Series. No.174. 243-246 (2003)