2003 Fiscal Year Annual Research Report
航空機LIDARによる高精度の広域森林資源モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
03J00798
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 與明 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | LiDAR / レーザースキャナー / 単木 / 樹高 / DSM / DTM |
Research Abstract |
背景と目的 航空機LiDARは物体の位置座標計測の精度が高いため、海外では単木レベルの樹高、樹冠直径、胸高直径、材積などのパラメータの推定に関して有用な結果が報告されている。しかし国内では航空機LiDARを用いた研究は数えるほどしかなく、特にわが国の主要造林樹種であるスギ・ヒノキ人工林における事例は非常に少ない。近年、施業放棄による間伐遅れが進む人工林が多く存在する日本において、京都議定書の3条4項を受け、今後適切な森林施業を行っていく場合には、そのような人工林での航空機LiDARによる詳細な森林情報の把握が重要であると考えられる。そこで本研究では、間伐遅れのスギ人工林を対象に、航空機LiDARによる先に挙げた単木パラメータの抽出を試み、その推定精度の評価を行うことを目的とした。 結果と考察 調査プロットの上層木を対象に、4つのパラメータについて実測値と推定値の回帰分析を行った。その結果、全てのパラメータについて、回帰式の切片は統計的に原点0と有意な差が認められず、その決定係数は樹高、樹冠直径、胸高直径、立木材積の順にそれぞれR^2=0.81,0.56,0.46,0.57であった。また特に樹高推定に関しては、回帰式の傾きがほぼ1であり、その精度および正確度が非常に高いことから、今回のレーザー計測のセッティング(平均的50cmメッシュに1点の点密度計測)で十分に上層木の樹冠頂部を復元(計測)できることが示唆された。また、実測樹高と実測樹冠直径を独立変数とした単純な重回帰式(R^2=0.79)から胸高直径を推定した結果、その精度(先のR^2=0.46)は樹高推定に比べて低いことから、今後さらに胸高直径推定に適したモデル式を利用することにより、推定精度が向上すると考えられる。そして、胸高直径の推定精度が向上することにより、立木材積の推定精度も向上することが考えられる。
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