2004 Fiscal Year Annual Research Report
森林におけるキノコ食昆虫群集の構造と胞子分散への寄与
Project/Area Number |
03J00810
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 聡 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ハラタケ目 / キノコ / キノコ食昆虫 / 群集構造 / 胞子分散 / 生物多様性 |
Research Abstract |
本年度は,子実体(以下,キノコ)から放出される胞子数におよぼすキノコ食昆虫の摂食の影響を明らかにするために,アカマツ林において優占的に出現するモリノカレバタケ属を対象として調査を行った。まず,採集されたキノコを食害の程度により,健全と被食ありの二つのグループにわけた。ついで,キノコから放出される胞子数はキノコの発達段階によっても変化すると考え,カサの開き方によって未熟と成熟のグループに分けた。健全・未熟は11本,健全・成熟は8本,被食あり・未熟は5本,被食あり・成熟は4本採集された。これらのキノコのカサを実験室内に放置し,放出された胞子を採取した。その結果,一日に一本のキノコから放出される胞子数は,31250〜95317500個と推定された。放出された胞子数に対する被食の有無と発達段階の効果を,キノコのヒダ(胞子形成部位)の鉛直投影面積を共変量とする共分散分析により解析したところ,被食の有無および発達段階の影響は有意ではなかった。また,キノコのヒダの投影面積が増加するにしたがって,放出された胞子数も増加した。したがって,野外条件下においては,昆虫によるヒダの摂食は,放出される胞子数に対して影響を及ぼさないことが示唆された(Yamashita & Hijii投稿中)。 その他,3年間のデータをもとにキノコの空間分布特性を解析し,キノコの属間で比較した(Yamashita & Hijii投稿中)。さらに,キノコのどのような特性がキノコ食昆虫群集の構造の決定要因となりうるかについて,3年間のデータをもとにCCA分析を行い,明らかにした(Yamashita & Hijii投稿中)。
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