2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物における2-OGセンサーとしてのP_<II>タンパク質の機能の解析
Project/Area Number |
03J00818
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高谷 信之 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 2-オキソグルタル酸 / 環境応答 / 窒素代謝 / 花成 |
Research Abstract |
2-オキソグルタル酸(2-OG)は、窒素同化においてアンモニアがアミノ酸のアミド基として同化される際の炭素骨格となる物質である。原核光合成細菌であるラン藻において、2-OGは細胞内の窒素充足状態をモニターするシグナル物質であると考えられている。一方、高等植物においても2-OGが細胞内の窒素栄養状態をモニターするシグナルとして働いている可能性が示唆されている。さらに、シロイヌナズナを含む種々の高等植物において細胞内の2-OG濃度を検知するセンサーとしてP_<II>タンパク質の存在が確認されており、細胞内の窒素充足状態を検知していると考えられている。しかしながら、高等植物における2-OGのシグナル物質としての機能及びそのセンサーであるP_<II>の具体的な機能は未解明のままである。 この高等植物におけるP_<II>タンパク質の機能を解析するにあたり、シロイヌナズナを研究材料とし、Salk Institute Genomic Analysis Laboratory (http://signal.salk.edu/)よりP_<II>をコードする遺伝子GLB1の4番目のイントロンにT-DNAが挿入されたglb1-1変異株(SALK-021878)を入手した。また、アグロバクテリウムを用いた形質転換法により、P_<II>を過剰発現させたセンス株及び発現量を抑制させたアンチセンス株を作製した。これらの変異株について、まず様々な生育条件での生理学的な表現型を解析した。その結果、24時間連続光照射下において、野生株は窒素欠乏条件に比べ窒素十分条件において花茎の伸長を促進しているのに対し、glb1-1変異株においてはこのような花茎の伸長促進は見られず、またセンス株においては窒素欠乏条件においても花茎の伸長は速まっていた。また、花茎の伸長速度の変化に伴い花成時期にも同様の傾向が見られた。以上のことから、シロイヌナズナにおいてP_<II>タンパク質が窒素条件に応答して花茎の伸長及び花成時期を調節している可能性が示唆された。
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