2004 Fiscal Year Annual Research Report
イチゴ黒斑病菌の病原性を決定するCD染色体の構造と機能
Project/Area Number |
03J00819
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八田 理恵子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / Alternaria alternata / 宿主特異的毒素 / 遺伝子クラスター / conditionally dispensable染色体 / EST解析 |
Research Abstract |
Alternaria alternataには、それぞれ異なる植物に寄生する7種の病原性系統(病原型)が存在する。これら病原菌の病原性は、宿主植物にのみ毒性を示す宿主特異的毒素によって決定されている。先に、イチゴ黒斑病菌(AF毒素生産菌)NAF8株からAF毒素生合成遺伝子(AFT遺伝子)クラスターを単離し、このクラスターが培地上での成育には必要でない1.05Mbのconditionally dispensable (CD)染色体にコードされていることを見出した。本研究では、CD染色体の構造と機能の解明を目的として、EST (expressed sequence tag)解析による本染色体にコードされる遺伝子群の網羅的同定と、1.05Mb染色体の構造解析を行った。 昨年度は、EST解析によって本染色体にコードされる100個の遺伝子を同定した。これら遺伝子の約半数は既知遺伝子と相同性が認められず、CD染色体に存在する遺伝子の多くが機能未知の新規遺伝子であることが明らかとなった。 本年度は、CD染色体の構造解明を目的として、1.05Mb染色体のショットガンクローンとBACクローンの塩基配列を解析し、複数のコンティグを同定した。それらのうち最長のコンティグ(420kb)の構造を解析し、94個の推定読み枠を見出した.この領域にはこれまでに同定したAFT遺伝子は存在せず、またデータベース相同性解析によって毒素生合成に関与すると推定される読み枠も見出されなかった。以上の結果は、1.05Mb染色体には毒素生合成遺伝子領域と毒素生合成遺伝子を含まない領域が存在することを示唆した。また、420kbの領域からは、生存・成育に必要と考えられるハウスキーピング遺伝子の相同配列も見出されず、1.05Mb染色体がCD染色体であることがさらに確認された。
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Research Products
(2 results)