2003 Fiscal Year Annual Research Report
イチゴ黒斑病菌の病原性を決定するCD染色体の構造と機能
Project/Area Number |
03J00819
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八田 理恵子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 植物病原性糸状菌 / Alternaria alternata / 宿主特異的毒素 / 遺伝子クラスター / conditionary dispensable染色体 / EST解析 |
Research Abstract |
Alternaria alternataには、それぞれ異なる植物に寄生する7種の病原型系統(病原型)が存在する。これら病原菌の病原性は、宿主植物にのみ毒性を示す宿主特異的毒素によって決定されている。先に、イチゴ黒斑病菌(イチゴ病原型、AF毒素生産菌)NAF8株からAF毒素生合成遺伝子(AFT遺伝子)クラスターを単離し、このクラスターが培地上での生存・生育には必要でない1.05Mbのconditionary dispensable(CD)染色体にコードされていることを見いだした。本研究では、CD染色体の構造と機能の解明を目的として、EST(expressed sequence tag)解析によって本染色体にコードされる遺伝子群の網羅的同定を進めている。本年度の成果を以下に要約する。 1.糸状菌の遺伝子数は約10000個、本菌のゲノムサイズは約30Mbであることから、1.05MbのCD染色体には350個程度の遺伝子が存在すると推定される。NAF8株のcDNAライブラリーから、CD染色体プローブを用いて463クローンを単離した。これらクローンの部分配列を決定し、それらを相互比較することによって、異なる遺伝子由来の149クローン(推定遺伝子数の約32%)を同定した。 2.データベース相同性解析によって、149個の独立クローンを推定機能別に分類した。その結果、独立クローンのうち62クローン(42%)は既知配列との有意な相同性が認められず、CD染色体に存在する遺伝子の多くが機能未知の新規遺伝子であることが明らかとなった。独立クローンからは、先に同定したAFT遺伝子群のcDNAに加え、各種酵素遺伝子と相同なクローンも見いだされた。そこで、推定された酵素機能とA.alternataの他の病原型における分布様式に基づき、AF毒素生合成に関与する遺伝子を推定した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kaoru Ito: "Dissection of the host range of the fungal plant pathogen Alternaria alternata by modification of secondary metabolism"Molecular Microbiology. (印刷中). (2004)
-
[Publications] Takashi Tsuge: "Genomic and Genetic Analysis of Plant Parasitism and Defence(Leach J.et al.,eds.)"The American Phytopathological Society Press(印刷中). (2004)