2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のミトコンドリア内膜透過に関わる新規タンパク質Tim50の機能解析
Project/Area Number |
03J00828
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 林 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ミトコンドリア / トランスロケータ / 内膜透過 |
Research Abstract |
サイトゾルで合成されたミトコンドリアタンパク質の多くは、外膜トランスロケータであるTOM複合体、内膜トランスロケータであるTIM23複合体を介してミトコンドリア内へと取り込まれる。以前の研究により、TIM23複合体の構成因子である新規タンパク質Tim50を同定しており、Tim50が酵母の生育に必須であること、ミトコンドリア内膜の内在性膜タンパク質でC末端側の大部分を膜間部に露出していることを明らかにした。また、Tim50発現抑制により、in vivoではミトコンドリアタンパク質前駆体の蓄積が観察され、in vitroでの単離ミトコンドリアへの取り込み実験ではTIM23複合体経路での取り込み反応が阻害されることを見いだしている。 単離ミトコンドリアへのin vitro取り込み実験において、内膜の膜電位を消失させると、輸送基質の膜透過反応は外膜透過(TOM複合体)のステップで停止することが知られている。本研究では、この外膜透過中間体の状態において、輸送基質がTim50と架橋されることを明らかにした。このことは、TOM複合体からTIM23複合体への基質受け渡しのステップにTim50が直接関与することを強く示唆している。また、Tim50抑制型あるいはTim50過剰型のミトコンドリアから、外膜のみを選択的に破壊したマイトプラストを調製し、in vitroでの取り込み実験を行づたところ、Tim50抑制型では野生型に比べて取り込み効率が低下していたのに対して、Tim50過剰型では野生型と同程度の取り込み効率を示した。このことはTim50がTOM複合体からTIM23複合体への基質受け渡しのステップだけではなく、基質の内膜透過のステップにも関与していることを示唆している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Toshiya Endo, Hayashi Yamamoto, Masatoshi Esaki: "Functional cooperation and separation of translocators in protein import into mitochondria, the double-membrane bounded organelles."Journal of Cell Science. Vol.116. 3259-3267 (2003)
-
[Publications] 山本 林, 江崎 雅俊, 遠藤 斗志也: "ミトコンドリアトランスロケータの連係携プレー タンパク質配送の迷宮:2つの膜で囲まれたミトコンドリアの問題"実験医学・5月号. Vol.21, No.7. 880-885 (2003)
-
[Publications] 遠藤 斗志也, 江崎 雅俊, 山本 林, 吉久 徹: "ミトコンドリアをめぐるタンパク質フラックス"実験医学・増刊. Vol.21, No.14. 1889-1895 (2003)