2004 Fiscal Year Annual Research Report
数値解析によるカイラルゲージ理論の非摂動的側面の研究
Project/Area Number |
03J00887
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加堂 大輔 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Ginsparg-Wilson関係式 / カイラル格子ゲージ理論 / 局所コホモロジー問題 / ゲージアノマリー |
Research Abstract |
カイラルフェルミオンにゲージ場が結合したカイラルなゲージ理論は、標準模型を筆頭に素粒子論を形づくる重要な枠組みである.しかし、そのような理論は摂動展開を用いることで定式化されおり、非摂動論的には定式化されていない.それ故,理論の非摂動性質も良くわかっていない.対して、格子ゲージ理論によるカイラルゲージ理論の非摂動論的定式化が近頃,具体的に考えられるようになってきた.実際今までに、ゲージ群がU(1)の時は、理論のゲージ不変な定式化が格子上で可能であることが証明されている(非可換ゲージ群の場合は未解決).しかし、そのU(1)の場合の証明は、局所コホモロジー問題と呼ばれる,理論のゲージ不変性の保証と関係する問題の解決に、本質的に無限自由度の手続きを必要としており、それため、理論を非摂動的に調べるための数値シミュレーションに応用できるような代物ではなかった.そこで私は、論文1(次項)で局所コホモロジー問題を有限体積の格子上で(有限自由度の範囲内で)解き、U(1)カイラル格子ゲージ理論のゲージ不変な定式化が有限自由度の範囲内で行えることを示した.そして、論文2において,U(1)理論の経路積分の表式を定義する時に必要なゲージカレントの一部が論文1の主張どおり実際数値的に求められることを示した.さらに,現在U(1)カイラルゲージ理論の経路積分の表式すべてを数値的に求められるようにする準備をすすめており,これができ次第,数値解析を通してU(1)理論を非摂動的に調べる予定である.また,一般の非可換なゲージ群に定式化を拡張していくための準備として,局所コホモロジー問題をこれまで知られている解法とは(非可換群への応用が難しいと思われる部分について)異なる解き方が出来ることが示せた(論文準備中1).その解法では,曲率テンソルをゲージ不変な場の基本的な自由度と見なし、証明の手続きをこれまでより簡略化している,それ故,方法をU(1)群に適応すれば,論文2における数値計算が早く実行できることが示せている(論文準備中2).さらに,一般の非可換ゲージ群について,この局所コホモロジー問題の別解法を用いて,場を曲率テンソルで展開すれば,その展開の各次でコホモロジー問題が解決できることを示せた(論文準備中3).
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Research Products
(2 results)