2004 Fiscal Year Annual Research Report
年輪中に含まれる宇宙線起源放射性炭素の濃度測定による太陽活動研究
Project/Area Number |
03J00889
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮原 ひろ子 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 太陽 / 宇宙線 / 放射性炭素 / 加速器質量分析法 / マウンダー極小期 / シュペーラー極小期 / 小氷河期 / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究では、樹齢712年の屋久杉および樹齢382年の室生寺杉に含まれる放射性炭素の濃度を0.3%という高精度で測定することにより、太陽活動の本格的な観測が始まる以前の太陽活動を復元し、太陽の無黒点期が数百年間にわたって持続する太陽活動極小期における太陽活動の変動特性を明らかにすることを目的としている。本年度は、マウンダー極小期(西暦1645-1720年)を含む1631-1739年についての隔年値と、シュペーラー極小期(1415-1534年)を含む1413-1554年の1年値についての測定を完了し、放射性炭素濃度の時系列データを作成した。また、加速器質量分析法による高精度での測定のため、木材試料の化学処理システムを改良した。測定には、名古屋大学が保有する加速器質量分析計を使用した。 放射性炭素の時系列データについて、ウェーブレット変換およびS変換により、周期性の時間変化を調べた結果、両極小期の前後では現在の黒点変動と同様な11年周期変動が現れていることを確認したが、極小期においては、11年周期変動のかわりに13-15年程度の周期性が現れていることがわかった。また、太陽の極性反転の周期性である22年周期も、極小期においては24-29年に伸びていたということが確認された。これにより、無黒点が数十年にわたり持続する太陽活動極小期においても、太陽は周期的な磁場反転を保持していたということと、その周期性が、現在顕著に見られるような11年ではなく、13-15年程度のやや長めの周期であったということが明らかになった。これまで、太陽の長期変動を再現するモデルを作成する際には、マウンダー極小期などにおける11年周期を仮定せざるを得なかったが、本研究により、より現実的なパラメータを用いての解析が可能となった。
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Research Products
(6 results)