2005 Fiscal Year Annual Research Report
年輪中に含まれる宇宙線起源放射性炭素の濃度測定による太陽活動研究
Project/Area Number |
03J00889
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮原 ひろ子 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 太陽 / 宇宙線 / 放射線炭素 / 宇宙線起源核種 / 宇宙気候 / 古気候 / 加速器質量分析 / 小氷河期 |
Research Abstract |
太陽活動には、黒点数の増減に見られる11年周期のほかに、88年周期や208年周期といった長周期的な変動があることが知られている。これらは、地球の気候変動とも密接に関連していることが示唆されているが、そのメカニズムは未だ分かっていない。そこで本研究では、太陽活動の長周期変動のメカニズムに迫るため、太陽活動を1年の分解能で復元し、11年周期変動の特性が長期変動に伴いどのように変化するのかを調べた。 黒点の観測が始まって以来、最も太陽の長期変動が顕著に現れたのは、1645年から1715年にかけてのことである(マウンダー極小期)。この間、太陽活動は極端に低下し、太陽黒点はほとんど現れなかった。これは地球に小氷河期をもたらしたとされており、放射性核種を用いた研究により、このような長期にわたる太陽活動の低下は過去に何度も起こっていた可能性があることが指摘されている。 そこで本研究では、マウンダー極小期やシュペーラー極小期(1413-1554年)の年輪中の放射性炭素の測定を1年毎に行い、その間における太陽活動の特性を調べた。地球上の放射性炭素の生成量は、銀河宇宙線の飛来量に比例し、太陽活動と逆相関の関係にある。この手法を用いれば、黒点の記録が残っていない過去にさかのぼって太陽活動の変動を解明することができる。 測定の結果、両太陽活動極小期とも黒点がなかったにもかかわらず太陽が周期的な磁場反転を繰り返していたことが明らかとなった。またその周期性は、比較的活発な様相を示す現代の太陽活動のものよりやや長めの、13〜15年、11〜12年に伸びていたことも判明した。 これらの新しい知見は、太陽ダイナモの長期変動についての理解を深め、今後の太陽活動の予測を行っていく上で貴重な手がかりとなることが期待される。
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Research Products
(4 results)