Research Abstract |
多孔質セラミックスの疲労寿命予測法を確立することを目的として,本年度は多孔質炭化ケイ素セラミックス・シューマリット#5(SL#5,気孔率35%)を用いて,疲労強度に及ぼす切欠き形状の影響,および荷重周波数の影響について実験的に明らかにした. まず,疲労破壊に及ぼす切欠き形状の影響に関しては,平滑材および2種類の切欠き材(半円孔切欠き材,V型切欠き材)を用いて4点曲げ繰返し疲労試験を行い,疲労強度は平滑材が最も高く,半円孔切欠き材,V型切欠き材の順で低くなることを示した.疲労寿命を弾性応力集中係数で整理すると,各切欠き材の強度が平滑材に比べて大幅に高くなり,弾性応力集中係数の大きい切欠き形状の方が疲労試験中に大きな応力緩和を引き起こすことを示した.また,即時破壊試験から得られる平滑材と各切欠き材のき裂進展開始時における強度比で疲労寿命を整理すると,切欠き材の疲労強度が平滑材の強度にほぼ一致することを明らかにした.さらに,コンプライアンスの変化から切欠き材のき裂進展挙動を調べ,V型切欠き材では,き裂長さとともにき裂進展速度が減少する第I段階,停滞する第II段階,増加する第III段階に,半円孔切欠き材では,第I段階と第III段階に分けられることを示した.また,応力拡大係数K_<max>でき裂進展速度を整理すると,き裂進展の第III段階においては切欠き形状の影響をあまり受けず,不安定破壊時の応力拡大係数がほぼ1MPam^<1/2>であることを解明した. 次に疲労破壊に及ぼす荷重周波数の影響に関しては,V型切欠き材を用いて,静疲労試験および,異なる二種類の荷重周波数(30Hzと0.3Hz)で繰返し疲労試験を行い,Slow Crack Growth理論の下で比較することから,き裂進展には時間依存性応力腐食メカニズムが影響を与えるとともに,繰返し応力も応力腐食割れによるき裂の進展メカニズムを高めていることを解明した.
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