2003 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質セラミックスの疲労破壊機構のメゾメカニックス的研究
Project/Area Number |
03J00894
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北 泰樹 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多孔質セラミックス / 疲労 / き裂進展 / 応力腐食割れ / 破壊力学 / き裂遮蔽効果 |
Research Abstract |
多孔質セラミックスの疲労寿命予測法を確立することを目的として,本年度は珪酸とアルミナの混合多孔体(シューマテルム#40,気孔率40%)の切欠き材を用いて,き裂進展に及ぼす荷重周波数の影響を実験的に明らかにした.また,多孔質炭化ケイ素セラミックス(KD-DSLT10-20,気孔率37%)のき裂進展挙動と比較することから,多孔質セラミックスの疲労破壊機構を検討した. 2種類の周波数に対して疲労試験を行い,き裂進展量をコンプライアンスの変化より求めることから,き裂進展には主に時間依存性応力腐食メカニズムが支配的であることを示した.ついで,き裂進展曲線は,き裂がゆっくりと進展する段階と急激に不安定的に進展する段階が交互に存在することを明らかにした.この特異な挙動は,多孔質炭化ケイ素セラミックスでは観察されなかったが,き裂進展挙動を巨視的にみると,多孔質炭化ケイ素セラミックス同様,疲労き裂進展速度がき裂長さとともに減少する第I段階と停滞する第II段階,さらに増加する第III段階に分けられることを解明した. また,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた破面の微視的観察より,破壊形態には粒内破壊と粒子同士を結合しているバインダ層破壊の両方が存在することを明らかにした.一方,多孔質炭化ケイ素セラミックスでは,粒子とバインダ層の界面の剥離が主であり,この破壊形態の違いによる異なるき裂遮蔽効果が上述のき裂進展挙動の差異を生み出したと予想された. 以上から,多孔質セラミックスの疲労破壊機構は主に時間依存性応力腐食割れが支配的であり,き裂進展挙動はマクロ的観点からみると,疲労き裂進展速度がき裂長さとともに減少する第I段階と停滞する第II段階,さらに増加する第III段階に分けられ,この挙動は破壊形態の影響を受けないことを示した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田中啓介, 秋庭義明, 北泰樹, 佐藤永次: "多孔質セラミックスの切欠き破壊強度のR曲線法による評価"日本機械学会論文集(A編). 69・685. 1345-1352 (2003)
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[Publications] K.TANAKA, Y.AKINIWA, Y.KITA, M.SEGAWA: "Crack propagation in notched specimens of porous silicon carbide under cyclic loading"FATIGUE & FRACTURE OF ENGINEERING MATERIALS & STRUCTURES. 26. 1103-1111 (2003)