2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラセミ体ラクチドの高立体選択的リビング重合触媒の開発とその応用
Project/Area Number |
03J00910
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 亮平 (石井 亮平) 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 立体選択的重合 / ポリ乳酸 / ラセミラクチド / イソタクチック / シッフ塩基配位子 / 塊状重合 / Salen配位子 / Homosalen |
Research Abstract |
これまでに本研究ではアキラルなシッフ塩基-アルミニウム錯体を用いたラセミ体ラクチドの高イソタクチック選択的重合触媒を開発し、ポリ(L-乳酸)よりも融点の高いポリ(ラセミラクチド)(融点192℃)を1段階の反応で合成することに成功している。シッフ塩基配位子は修飾が比較的容易であり、フェノラートのオルト位に嵩高い置換基を導入することにより立体選択性が向上することが分かっている。これまで嵩高い置換基としてtert-ブチル基を導入したとき最も高い選択性が得られているが、触媒活性という観点からは、嵩高い置換基は触媒活性を低下させる傾向にあった。しかしながら2つのシッフ塩基をつなぐバックボーンの修飾により、高い立体選択性を維持しながら従来の数倍の重合活性を示す配位子の開発に成功した。また本重合触媒は工業的に有利な立体選択的塊状重合へも応用可能であることを示した(Polym.J.2004,261.)。さらに、触媒活性を高めたことにより、tert-ブチル基よりもより嵩高いトリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基などの導入によっても比較的高い重合活性を保ちつつ、より高立体選択的な重合が可能となった。TBDMS基を導入した触媒を用いると最も高い立体選択性が得られ、溶液重合において、最高で融点209℃のポリ(ラセミラクチド)を得ることができた。このTBDMS基を有する触媒の単離、X線構造解析に成功し、塊状重合への応用を行ったところ、180℃の高温重合においてもポリ(L-乳酸)と同等、またはそれ以上の融点(>176℃)を有する分子量分布の狭い(M_w/M_n〜1.1)ポリ(ラセミラクチド)を容易に得ることに成功した。
|
Research Products
(1 results)