2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラセミ体ラクチドの高立体選択的リビング重合触媒の開発とその応用
Project/Area Number |
03J00910
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 亮平 (石井 亮平) 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリ乳酸 / ラクチド / 立体選択的重合 / アルミニウム錯体 / シッフ塩基 / ポリ(ε-カプロラクトン) / ランダム共重合 / アキラル触媒 |
Research Abstract |
これまでに本研究ではアキラルなシッフ塩基-アルミニウム錯体を用いたラセミ体ラクチドの高イソタクチック選択的重合触媒を開発し、ポリ(L-乳酸)よりも融点の高いポリ(ラセミラクチド)(融点〜210℃)を1段階の反応で合成することに成功している(J.Am.Chem Soc.2002,124,5938 ; Polym.J.2004,36,261.)。シッフ塩基配位子は修飾が比較的容易であり、フェノラートのオルト位に嵩高い置換基を導入することにより重合速度は小さくなるものの、立体選択性が向上することが分かっている。本重合触媒の応用として、ラクチドと同様に、生分解性、生体適合性を有するε-カプロラクトンの重合について検討した。興味深いことに、ラクチドの重合とは対照的に、フェノラートのオルト位の嵩高い置換基を導入することで重合速度が大きくなった。最も重合活性の高いtert-ブチルジメチルシリル基を置換基とした触媒を用いることで、室温、10分で100量体のポリ(ε-カプロラクトン)を得ることに成功した。重合はリビング的に進行し、分子量分布の狭いポリマーを容易に合成可能であった。また本重合触媒は、これまで困難とされてきたラクチドとε-カプロラクトンとのランダム共重合体を合成できることを見いだした。一般的な触媒を用いた場合、ラクチドとカプロラクトンとの共重合では、ラクチドの反応性が高いためブロック性の高い共重合体が得られるが、本重合触媒を用いれば、それぞれのモノマーユニットを、ポリマー鎖中に統計的にほぼランダムに導入できることから、新しい熱的、機械的性質を有する生体適合性材料となることが期待できる。
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Research Products
(2 results)