2003 Fiscal Year Annual Research Report
クローン植物ヒメモチの花粉流動と繁殖成功に関する研究
Project/Area Number |
03J00944
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥丸 猛 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | モチノキ科 / 遺伝構造 / 父性解析 / マイクロサテライト / 集団遺伝 / 繁殖生態 / 雌雄異株 / クローン植物 |
Research Abstract |
本研究は、雌雄異株性のクローン植物であるヒメモチの送粉パターンと雌雄の繁殖成功の解明を通じて、クローン植物個体群のジェネット形成における有性繁殖に対する適応的意義を解明することを目的としている。雌性繁殖成功度は、種子生産数で測定される。一方、雄性繁殖成功度は、交配頻度として測定される。近年、マイクロサテライトマーカーを用いた花粉親の推定により、雄性繁殖成功の推定が可能となった。平成15年度には、主に以下の研究成果が得られた。 1.ヒメモチの遺伝子型を決定するための道具として、マイクロサテライトマーカーを開発した。ヒメモチのゲノムライブラリーを作成し、189個のDNA断片においてマイクロサテライト部位が含まれていたことが認められた。そして、これらのDNA断片の塩基配列から92組のプライマーを設計した。これらのプライマーを用いてヒメモチのDNAをPCRにより増幅を試みた結果、13個のプライマー組で単一のマイクロサテライト部位に由来すると考えられるDNA断片の増幅が認められた。 2.開発された13個のマイクロサテライトマーカーの多型性を検討した。ヒメモチの分布範囲から12集団を抽出し、各集団からサンプルDNAを3個ずつ、合計36サンプルのDNAを解析に供した。その結果、各マーカーあたり3から27個の対立遺伝子が検出された。種の遺伝的多様性を表す遺伝子多様度は、各マーカーあたり0.133から0.971までの値を示した。3個のマイクロサテライトマーカーにおいて、ヘテロ接合体の観察頻度が期待頻度よりも有意に少ないことが認められた。
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Research Products
(1 results)