2003 Fiscal Year Annual Research Report
線虫をモデル動物としたシナプス小胞の局在制御機構の解析
Project/Area Number |
03J00950
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂本 リエ 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス小胞 / スカフォールドタンパク質 / キネシン |
Research Abstract |
神経細胞における機能的なシナプスの形成やその構成因子の正常な局在は、神経機能に非常に重要である。しかし、この制御機構についてはいまだ不明な点が多い。そこで、神経回路網が明らかであり、遺伝学的解析が可能な線虫をモデル動物として、シナプス小胞の局在制御機構の解析が行われている。これまでに、シナプス小胞マーカー(SNB-1::GFP)の局在が異常になる変異体としてunc-16欠損変異体が単離され、線虫のJNK MAPキナーゼカスケードのスカフォールドタンパク質であるUNC-16がシナプス小胞の局在制御に関与することが報告されている。また、UNC-16と結合する因子として単離したキネシン軽鎖KLC-2の欠損変異体でもSNB-1::GFPの局在異常が見られ、KLC-2もシナプス小胞の局在制御に関与することを明らかにした。今年度はさらにシナプス小胞の局在制御機構を解明するため、酵母Two-hybridスクリーニングにより単離されたUNC-16結合因子UNC-14について解析を行った。培養細胞を用いた解析から、UNC-16とUNC-14はKLC-2に依存して相互作用することが明らかになった。また、unc-14欠損変異体でもunc-16,klc-2欠損変異体と同様にSNB-1::GFPの局在異常が観察された。さらに、変異体を用い、線虫個体内でUNC-16、KLC-2とUNC-14の局在を調べて三者の関係を検討した結果、UNC-16の局在はKLC-2に依存し、UNC-14の局在はUNC-16とKLC-2に依存することが明らかになった。したがって、線虫においてUNC-16がキネシン、UNC-14と複合体を形成し、シナプス小胞の局在を制御している可能性が考えられる。
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