2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00958
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥田 徹哉 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 糖脂質 / ノックアウトマウス / 病原性大腸菌 / ベロ毒素 / 小脳 / 初代培養 / スライス培養 |
Research Abstract |
スフィンゴ糖脂質の糖鎖が持つ生物学的機能、疾患との関連を明らかするため、糖脂質の糖鎖合成酵素遺伝子のノックアウトマウス作成と、これを用いた神経細胞培養系の構築を行った。第一に、グロボ系糖脂質の機能を明らかにするため、Gb3(CD77抗原)の合成酵素alpha 1,4-galactosyltransferase遺伝子のノックアウトマウスを作成した。Gb3はグロボ系糖脂質の根本の構造であり、この合成酵素のノックアウトによりグロボ系糖脂質すべてが欠損すると考えられる。グロボ系糖脂質の機能についてはよく解っていないが、特にGb3は病原性大腸菌O157が産生するベロ毒素の受容体となることや、悪性腫瘍バーキットリンフォーマに過剰発現することで知られ、疾患と密に関わる分子である。現在までに、alpha1,4-galactosyltransferase遺伝子を相同組み換えにより欠損したES細胞を作成した。これを用いたマイクロインジェクションによりキメラマウスを作成し、交配によりKOマウスを作成した。これを用いてグロボ系糖脂質が豊富な腎臓の糖脂質組成を調べたところ、グロボ系糖脂質が完全に消失していた。現在、KOマウスの出生率や組織構築、またベロ毒素に対する反応性について詳細に解析している。第二に、神経系に豊富に存在する複合型ガングリオシドの糖鎖機能を明らかにするべく、すでに作成されている複合型糖脂質欠損マウス(GM2/GD2synthase KOマウス)を用いて、小脳神経細胞初代培養系およびスライス培養系を確立した。このKOマウスでは、小脳などで加齢に伴う早期の神経細胞変性が見られる。この異常の原因を明らかにするため、この培養系を用いて詳細に解析する。現在までに、生後2日半の野生型マウス小脳を用いて、安定した初代培養系を確立した。現在、確立した系でKOマウス由来の小脳神経細胞を初代培養し、その分化、生存、糖脂質の局在について野生型と比較検討している。また、生後9日の野生型マウス小脳を用いたスライス培養系を確立した。現在、KOマウスの小脳スライス培養系を確立すべく検討中である。
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