2004 Fiscal Year Annual Research Report
アイザイア・バーリンと「品位ある社会」の観念-ニーズ論による自由主義の再検討-
Project/Area Number |
03J00977
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森 達也 早稲田大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 品位ある社会 / アイザイア・バーリン / ニーズ / 自由主義 / リベラリズム / リベラルな精神 / ワークフェア / 潜在能力アプローチ |
Research Abstract |
本研究の課題である「品位ある社会」概念の政治理論的考察に関して、今年度は以下の四点を中心として研究を遂行した。 1.学会誌『イギリス哲学研究』第28号(2005年3月発行)にて研究成果の一部を公表した。本論文は、昨年度の日本イギリス哲学会大会報告に寄せられた意見・批判をもとに論旨を再検討し、論文として堤出したものである。 2.昨年度のオックスフォード大学における資料調査、および国内外のバーリン研究の整理を通じて次のような知見を得た。すなわち、彼の自由主義を理解するためには、従来の自由主義研究の二区分である「自由主義政治の理論と実践」、「政治的自由の概念分析」に加え、「リベラルな精神」という第三の問題領域への注目が必要である。この仮説を第181回早稲田政治思想研究会(2004年7月)に拳いて研究報告のかたちで公表し、彼の自由主義が有する新たな側面の呈示を試みた。 3.品位ある社会の政策的指標をなすニーズ理論について、昨年度の研究実績に基づき、その成果の一部を公表した。早稲田政治学会第5回研究大会(2004年5月)における報告は、現代政治理論におけるニード言説を整理・分析しながら、自由主義の基本原理と両立可能なニード理論の存立可能性を探究したものである。 4.ニード理論と両立可能な新しい自由論として近年注目を集めるA・センの学説が、自由主義の政治原理とどの程度の整合性を有するかという問題関心の下、社会福祉論の分野を中心に資料調査・論点整理を行った。社会思想史学会第29回研究大会(2004年10月)報告は、英国ブレア政権の政策綱領は、センの自由論が社会福祉政策に実際に応用されたケースであり、それを理論的に支えるA・ギデンズの学説を上述の観点から批判的に分析したものである。
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Research Products
(1 results)