2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00981
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三田 剛史 早稲田大学, 政治経済学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国 / 経済思想 / マルクス・レーニン主義 / 孤軍 / 河上肇 |
Research Abstract |
2004年度は4月から1月まで北京大学を拠点として、主に中国における史料調査と現地の研究者との交流、中国での学会参加を行った。10月には天津と徐州で行われた「留学生と中外文化シンポジウム」で中国人留学者による中国における革命に関する考察を論じた。11月には河北省楽亭県で「李大釧生誕115周年シンポジウム」に参加し、李大釧と河上肇のラスキン観の比較研究に関して報告した。また、2003年度からの研究成果として、2004年5月29日に行われた社会経済史学会第73回全国大会において、「日本留学者による1920年代中国現状認識-雑誌『孤軍』を中心として-」と題した個別報告を行った。その後引き続き史料調査を続け、北京、上海、長春の図書館での調査を通じ、『孤軍』全巻の閲覧と目次作成を達成した。『孤軍』の研究を通じて、1920年代の中国人日本留学生が単純にマルクス・レーニン主義を受容したというだけではなく、マルクス・レーニン主義を念頭におきつつも、中国社会の現状をどう認識するか、中国における革命が如何にあるべきかを中心に思想的営為を行っていたことに注目した。その結果、エリート主導の社会改革、いわば「士」による革命の伝統が、近代に至っても知識人の支配的観念になっていたのではないかとの仮説を立てた。そので、逆井孝仁やT.A.Metzgerらの論文により、背景としての思想的伝統に関する先行研究を概観した。 1920から30年代の中国人日本留学者とその遺族に対する聞き取り調査を行ったが、これについては必ずしも成果を挙げられなかった。 2005年2月に帰国し、3月に京都大学で行われた河上肇記念シンポジウムで「日本と中国の政治経済学」と題する報告を行い、マルクス・レーニン主義と儒家思想および河上肇の思想遍歴の関係について述べた。
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