2003 Fiscal Year Annual Research Report
室内環境が知的生産性に与える影響の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
03J01063
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西原 直枝 (吉見 直枝) 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 室内環境 / 知的生産性 / 疲労 / 精神的努力 / 脳内酸素代謝 / 作業成績 / 国際研究者交流 / デンマーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、室内環境要素における知的生産性を評価する手法を検討することである。室内環境要素が知的生産性に与える影響については、従来、国内外にて多くの研究がなされてきたが、作業成績による評価では作業者の心理的要因が大きく影響し、その定量的評価について未だ統一した見解が得られていない。本研究では、同じ作業成績を保つために必要な「精神的努力」や、それによって引き起こされる「疲労」に着目をした。被験者実験を行い室内環境質との関係を主観評価だけでなく生理量測定による客観的な評価手法を併せて用いた。 室内環境要素のうち、気流を対象として自由に風速を調節可能な条件と不可能な条件との比較を行った。作業成績による評価では条件間で有意な差は認められなかったが、気流を被験者自身が自由に調節できることにより、作業者の作業意欲減退に関する疲労の症状が低下した。作業成績はモチベーション等の要因により環境が悪くても維持される可能性があり、作業成績だけでなく疲労の測定も併せて行うことが知的生産性の評価に有効であることを示した。 また、脳内酸素代謝測定が、精神的努力を評価する指標として有効かどうかを調べるため、難易度の異なる4種類の作業を課し、作業負荷の大きさと脳内酸素状態との関係を調べた。2桁の乗算、3桁の乗算の作業時は、1桁の加算作業よりも有意に難易度及び精神的努力が高く、酸素化ヘモグロビン及び総ヘモグロビン濃度の増加量が特に左額側において大きいことが明らかとなった。 熱的中立状態より高温の環境を対象とした実験を行い、疲労および脳内酸素代謝に注目をした測定を行った。33.5℃条件では総合的な疲労感が最も高く精神作業・夜勤型の疲労を示した。脳内酸素代謝については、33.5℃条件において、酸素化ヘモグロビン濃度および総ヘモグロビン濃度が有意に増加した。なお、これらの知見を基にデンマーク工科大学にて議論を行った。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Naoe Nishihara, Shin-ichi Tanabe: "Individual control of air velocity for increasing productivity"Healthy Buildings 2003 Conference Proceedings. 219-224 (2003)
-
[Publications] 西原直枝, 田辺新一: "室内環境における知的生産性評価(その2)難易度の異なる作業における脳内酸素代謝状態"空気調和・衛生工学会学術講演大会論文集. 669-672 (2003)