2004 Fiscal Year Annual Research Report
室内環境が知的生産性に与える影響の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
03J01063
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西原 直枝 (吉見 直枝) 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 室内環境要素 / 知的生産性 / 疲労 / メンタルワークロード / 脳内酸素代謝 / 作業成績 / 客観的評価手法 / 被験者実験 |
Research Abstract |
室内環境要素が知的生産性に与える影響については、従来、国内外にて多くの研究がなされてきたが、作業成績による評価では作業者の心理的要因が大きく影響し、その定量的評価について未だ統一した見解が得られていない。本研究では、同じ作業成績を保つために必要な「精神的努力」や、それによって引き起こされる「疲労」に着目をした。主観評価だけでなく生理量測定による客観的な評価手法を併せて用いた。 昨年度の研究で、課す作業の難易度によって脳内酸素代謝が異なり、脳内血流測定がメンタルワークロードの客観的指標として有効である可能性を示した。今年度は中程度の高温環境が生産性に与える影響を調べることを目的とし、作用温度を26℃および33.5℃に制御した実験を、健康な大学生年齢の男性12人を被験者として行った。従来、近赤外線分光を用いた脳内酸素代謝測定では、各温度条件下でのヘモグロビン濃度に関し絶対値での比較が困難であり、環境温度への体温調節反応による影響と、作業による影響とを区別するのが難しかった。本研究では、各温度条件の環境に被験者を50分間順応させ、「順応後」の安静レベルを基準とし、各作業時におけるヘモグロビン濃度の変化量を用いて評価を行った。作業成績に関しては、26℃と33.5℃条件との間に有意な差は認められなかった。酸化型および総ヘモグロビン濃度変化量は、33℃条件が26℃条件よりも有意に増加量が大きい結果となった。暑い環境下では、同じ作業成績を維持するのに、より多くの血流が脳内に送られていた。暑い環境での作業はメンタルワークロードが高い可能性がある。 また、客観評価指標として、脳内酸素代謝だけでなく、指尖脈波の測定の有効性について、知的生産性に影響が大きいと考えられる音環境を対象とした予備的な実験を行った。室内環境質が脳内酸素代謝に与える影響に関しデンマーク工科大学と共同で被験者実験を行った結果を解析し、客観的評価手法について議論を行った。
|
Research Products
(6 results)