2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコニアセラミックスの擬弾性と強靭化機構に関する研究
Project/Area Number |
03J01066
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松澤 正人 早稲田大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | セラミックス / ジルコニア / 擬弾性 / 破壊 / 強度 / 靭性 / 構造欠陥 |
Research Abstract |
種々のジルコニアセラミックス(Ce-TZP、3Y-TZP、8Y-FSZ、Mg-PSZ)に対して、1000℃水素ガス中8hの加熱処理を行い、熱処理前後の質量及び様々な力学特性の変化を測定した。その結果、Ce-TZPにおいてのみ還元効果が認められ質量の大幅な低下を生じたが、他の材料に変化は認められなかった。還元に伴いCe-TZPでは硬さ及び内部摩擦が増加したが、その一方で工業的に重要な破壊靭性値の著しい低下が確認された。Ce-TZP内部においてはCe^<4+>がCe^<3+>へ価数変化(還元)することにより酸素欠陥が導入され、質量の低下及び内部摩擦の増加を示したものと考えられた。他の材料においては、添加陽イオン(Y^<3+> or Mg^<2+>)の価数変化に対して非常に高いエネルギーが必要とされるために還元効果が現れなかったものと結論された。破壊靭性値の低下現象に関しては、高温水素中還元処理中に導入された水素による脆化作用が検討された。しかしながら、真空中熱処理による脱水素処理後においても機械的特性に変化が見られなかったことから、破壊靭性値の著しい低下は水素脆化によるものではなく酸素欠陥に起因する相変態能の低下が主原因であることが明確に示された。多量の酸素欠陥を含んだ還元Ce-TZPにおいて擬弾性測定及び引張試験を実施した結果、酸素欠陥の導入によりCe-TZPの擬弾性特性が大きく向上し、擬弾性の発現効率が引張強度に強く影響を及ぼすことが明らかとなった。これは研究課題である擬弾性の発現及び強靭化メカニズムの解明に対して重要な知見である。これらの結果は有益な研究成果として学術誌Acta Materialiaに受理掲載された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] M.Matsuzawa, M.Abe, S.Horibe, J.Sakai: "The effect of reduction on the mechanical properties of CeO_2 doped tetragonal zirconia ceramics"Acta Materialia. 52. 1675 (2004)