2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的理論に基づいた新しい運動処方プログラムの開発
Project/Area Number |
03J01077
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寺田 新 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 骨格筋代謝機能 / ミトコンドリア / GLUT-4 / 身体運動トレーニング / 脂肪酸酸化 / PPAR |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、短時間のうちに行われる高強度運動により、AMPK活性が顕著に活性化され、転写補助因子PGC-1やGLUT-4、ミトコンドリアが増加することが明らかとなった。本年度の研究においては、この高強度運動が実際に生活習慣病予防および治療に効果的であるかを検討した。生活習慣病モデルとして、ラットに対し高脂肪食を4週間にわたって摂取させ、インスリン抵抗性を惹起させた。このラットに対し、高強度間欠的水泳運動を行わせたところ、骨格筋のGLUT-4濃度の増加ならびにミトコンドリア酵素活性の増加が認められた。それに伴い、血中インスリン濃度、総コレステロール濃度、グルコース濃度の低下、さらにはインスリン抵抗性の改善因子として注目されているアディポネクチン濃度の増加が観察された。これらの結果は、高強度運動が生活習慣病予防および治療の手段として効果的であることを示しており、新たな運動処方プログラムの一つとして高強度運動が実際に活用できるものと考えられる。 また、本年度の研究において、PPARδに注目して研究を行った。身体運動トレーニングによりPPARδという核内受容体の発現量が増加することが知られている。このPPARδ遺伝子をElectroporation法により骨格筋に強発現させたところ、GLUT-4濃度の増加が観察された。一方、PPARδのagonistであるGW501516には骨格筋の糖取り込み速度を増加させる急性効果は認められないものの、長期的に骨格筋に作用させることにより、脂肪酸酸化酵素が増加することが明らかとなり、糖尿病治療の標的分子になりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)