2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01078
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西岡 晋 早稲田大学, 政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政治学 / 行政学 / 政策研究 / 社会政策 / 福祉国家 / 社会保障 / 政策ネットワーク |
Research Abstract |
今年度の研究では、福祉国家研究と政策ネットワーク論について主として理論的に考察を行い、近年の最新動向の検討を進める中で、第一に「再編」期にある福祉国家の研究にはメゾ・レベルに焦点を当てた研究が必要であること、第二にその分析用具として政策ネットワーク論が有用であること、第三に90年代後半以後政策ネットワーク論は新たな展開を見せ理論的進化を遂げていること、以上三点について知見を得ることができ、その研究成果を論文「福祉国家再編のメゾ・レベル分析に向けて」(近刊)にまとめた。 福祉国家研究は福祉国家形成の要因分析として出発し、経済的・杜会的要因論から政治的要因論へと展開した後、1990年代には、福祉国家を杜会民主主義・保守主義・自由主義の各福祉レジームによって類型化した、G・エスピン=アンデルセンの福祉レジーム類型論が提出され、その後の福祉国家研究を決定付けた。また80年代の福祉削減期の福祉政治を分析したP・ピアソンは、福祉制度の成熟化と福祉受益者層の拡大が福祉削減を抑制する要因として捉え、「福祉国家の新しい政治」論を展開した。しかしながら、90年代以後の福祉国家の福祉政策は縮小(年金政策等)と拡大(保育政策等)が重層化しており、単なる拡大とも削減とも異なる「再編」の時期に入っている。そのため、政策領域ごとの展開の相違を説明するためのメゾ・レベルの分析が必要であることが確認された。 メゾ・レベル分析に有用であるのが政策ネットワーク論であり、その理論的動向を把握することに努めた。政策ネットワーク論は政治学や組織論の成果をもとに80年代以後発展した理論であり、とくにイギリスでは、R・A・W・ローズらにより政策ネットワーク構造と政策結果との相関関係が分析された。90年代後半以後、政策ネットワーク論は新たな展開・転回を遂げ、(1)合理的選択論的、(2)解釈論的、(3)弁証法的、の3つのアプローチが提示されている。日本の政策ネットワーク研究は、主に90年代初頭までのイギリスの政策ネットワーク論を土台にしているが、本研究ではそれ以後の新しい研究動向を把握・検討した。
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Research Products
(1 results)