2003 Fiscal Year Annual Research Report
オランダ東インド会社による近世アジア間銅貿易の研究
Project/Area Number |
03J01081
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
島田 竜登 早稲田大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オランダ東インド会社 / アジア間貿易 / アジア間競争 / 銅貿易 |
Research Abstract |
本研究は、18世紀におけるオランダ東インド会杜による日本銅の国際流通とそのアジア経済への影響を考察するものである。オランダ東インド会社のバタヴィアでの再輸出の状況を明らかにする一方、日本銅の最終消費地での需要構造の分析を行ない、最終的には、銅の供給状況と貨幣経済の進展といった観点から近世アジアの比較経済史的分析を試みる。 本年度は、先ず、数量的考察として、オランダ東インド会社がバタヴィアで作成した貿易会計記録を対象として数量データを収集した。これにより、日本銅の再輸出先、再輸出量、再輸入地での販売量、価格、在庫量等が判明した。次に、文章史料の考察として、バタヴィアで作成された文書から、近世アジアの銅市場に関する文献データベースを作成した。以上の研究は、研究指導の委託先である、ライデン大学を基盤として、オランダ国立公文書館において実施した。 この研究の成果としては、活字化されたものとしては、後掲の2本の論文を挙げることができる。英文の論文は上記の数量的データを分析したものであり、日本文の論文は対象を少し広くしてオランダ東インド会杜の近世期のアジア間貿易について概観を試みたものである。なお、この学術論文のほかに、2本の論文を国際会議で報告している。どちらも中間成果を報告するものであった。一つは北海道赤平市で行なわれた国際鉱山史学会大会において、また一つは中国のアモイ大学東南アジア研究センターで行なわれた近世アジア史研究のワークショップにおいて報告した。 本年度は、この2年間にわたる研究の第1年度にあたる訳であるが、ほぼ当初の研究計画に基づく着実な研究とその成果を上げることができたといえよう。また、研究成果の評価については、今後に待たなければならない側面もあるが、すくなくとも今後の研究に示唆を与える有益なコメントも数々得られつつある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ryuto Shimada: "Dancing around the Bride : The Inter-Asian Competition for Japanese Copper, 1700-1760"Itinerario : European Journal of Overseas History. 27-2. 37-60 (2003)
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[Publications] 島田 竜登: "オランダ東インド会社のアジア間貿易"歴史評論. 644. 2-16 (2003)