2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01085
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
飯山 知保 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金元代 / 華北 / 在地社会 / 女真 / モンゴル / 士人層 |
Research Abstract |
まず、『史学雑誌』112-4に掲載された「金元代華北社会における在地有力者-碑刻からみた山西忻州定襄県の場合-」において、比較的豊富な関連史料が伝存する山西忻州定襄県を対象として、主に在地有力者層の動向を仔細に再現し、金元代華北社会の実相、そして大規模な戦乱や女真・モンゴルの支配が華北社会に及ぼした影響について具体的・通時的に考察を加えた。その結果、以下のことが明らかとなった。まず、金元代定襄県の様相は、モンゴルの侵攻を境にして明確に二分されうる。だが、女真支配下では科挙受験により、そしてモンゴル支配下ではその軍門に降り、また新たな戸計制度に適応すること等により、多くの家系が勢力を維持し続けた。従来、金元代華北社会については、「破壊的な戦乱と荒廃」が強調されてきたが、本稿の考察結果からは、それはあまりにも一面的な見解であることが判明した。次に、『東洋学報』85-1に「金元代華北における州県祠廟祭祀からみた地方官の系譜-山西平遥県応潤侯廟を中心に-」を発表した。この論考においては、北宋末の祠廟政策の転換期に廟額を賜与された一群の土着的・在地的な祠廟を主要な考察対象とし、それらをめぐる金元代の地方官の行動を分析することにより、北宋末から元代に到るまでの華北社会における地方官の立場を検討した。その結果、地方官の立場やその州県統治の様相は前代からの明確な連続性を帯びていることが明らかとなった。従来、金元代華北における地方官の活動と州県統治の様相は、断代的な視点からのみ考察されてきたが、本稿で得られた知見はその方式に疑問を投げかけるものである。
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Research Products
(2 results)