2004 Fiscal Year Annual Research Report
スピンエントロピー逆流機構によるN型酸化物熱電変換材料の設計と合成
Project/Area Number |
03J01196
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小林 航 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Co酸化物 / Ru酸化物 / 酸化物熱電変換材料 / ホール係数 |
Research Abstract |
本申請研究の目的は(1)スピンエントロピー逆流機構が成立するMn^<3+>とMn^<4+>からなるMn酸化物を系統的に調べ,より熱電変換性能のよい材料を探索すること,(2)Mn酸化物以外の系でスピンエントロピー逆流機構を用いてN型材料を設計すること,(3)この機構を利用した熱電素子,デバイスの作製を提案することである。 平成16年度は,主に(2)の目的を達成するためにCo酸化物Sr_<1-x>Y_xCoO_y, Ru酸化物CaCu_3Ru_4O_<12>を作製し,800Kまでの電気抵抗率と熱起電力を測定した。残念ながら,どちらの試料においてもスピンエントロピー逆流機構によるN型の熱起電力を観測することはできなかった。しかし,副次的な結果として,Sr_<1-x>Y_xCoO_yはペロブスカイト型Co酸化物で最高の転移温度をもつ強磁性体であることが明らかとなった。これはAサイトのSrとYの整列に関係して,中間スピン状態のCoの軌道が整列することによると考えられる。さらに,CaCu_3Ru_4O_<12>においてはd電子系ではじめてf電子系と等価な重い電子状態を観測した。CuサイトRuサイトの置換効果を調べることによって,Cu^<2+>が局在モーメントを,Ru^<4+>が遍歴電子を担っていることが明らかになった。また昨年まで行っていたMn酸化物,Ca(Mn_<3-x>Cu_x)Mn_4O_<12>の研究を発展させるために800Kまで測定可能なホール係数測定プローブを作製し,測定を行った。その結果,x=0,75,1の試料において電気抵抗率は大きいにも関わらず,ホール係数は小さいという結果を得た。この結果は昨年報告した高温極限における輸送特性の普遍性との関連性が期待される。
|
Research Products
(3 results)