2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01222
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高遠 拓児 中央大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国史 / 清代 / 法制史 / 刑罰 |
Research Abstract |
2004年度中には、清代後期の刑罰制度の運用状況について、中央の司法機関である刑部と、各地方の上級地方官(とくに各省の司法を掌った按察使)の動向に焦点をあてた研究を行った。 まず、刑部に関する研究として、本研究代表者は研究論文「清代秋審制度の機能とその実際」(裏面11参照)を発表した。これは、近年の中国法制史研究者の間で関心を集めている清代の秋審(死刑囚に対する刑の執行及び減免の可否を定める制度)について論じたものである。本論文の前半では、この秋審と呼ばれる制度が、清朝の刑罰制度の中で、いかなる理念や機能を担っていたのかという点について、刑部官僚の言説を主たる手がかりとして考察し、秋審の持つ多様な機能について明らかにした。また、本論文の後半では、秋審の具体的な判断の仕組みについて、清代後半期の刑部文書を通じて、当時の官僚たちがどのような論理で死刑事案に対する判断を導き出していたのかを明らかにした。 また、按察使に関する研究として、清末に中国中部の湖北省と湖南省で按察使の職務代行をつとめた継昌という人物の残した事件記録『柏垣瑣志』を通じて、清朝最末期の地方司法の実情について検討した研究論文「『柏垣瑣志』の世界」を執筆した(投稿準備中)。このほか、清代後半期の按察使にかかわる記録を収集し、当時の地方司法の抱えた課題やその背景についての分析を進めている。 このように2004年度中には、前年度に引き続き、中央・地方の両面から清代後半期の刑罰制度をめぐる諸問題について検討を進め、一定の研究成果を上げ得たことをここに報告するものである。
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Research Products
(1 results)