2003 Fiscal Year Annual Research Report
共形共変一階微分作用素の微分幾何学、大域解析学の視点からの研究
Project/Area Number |
03J01252
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
本間 泰史 東京理科大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ボホナーワイゼンベック公式 / カシミール作用素 / スピン幾何 / 四元数ケーラー幾何 / 消滅定理 |
Research Abstract |
今年度の研究で,まずリーマン・スピン多様体上の微分作用素の表象と直交群リー環so(n)のパフィアン型カシミール元という不変元との関係を明らかにした.この関係から導かれるボホナーワイゼンベック公式(以下B-W公式)は,通常のものと異なり,曲率項がアインシュタイン項に依存しないため共形平坦多様体に対する消滅定理を導くことが出来る.これは古典的なBourguignon消滅定理の一般化であり,その本質的な意味を捉えたものといえる.また4次元の場合に適用すれば,自己双対・反双対の分解と対応し,様々な形のB-W公式をも得る.研究代表者による以前の結果と合わせれば,リーマン・スピン多様体上のB-W公式に対する一般論はある意味で完成したといえる.ただし,幾何学や大域解析学へ応用する際は,case by caseであるので,この一般論がどこまで適用できるかについては今後の研究課題である. 次に,ホロノミー群としてSp(1)Sp(n)をもつ四元数ケーラー多様体上の幾何学的一階微分作用素に対する研究を行った.より一般的な概四元数エルミート多様体上で共形変形を行った場合に,これら作用素が共形共変性をもつことがわかった.その共形共変性における共形重みを用いることにより,Sp(1)Sp(n)の普遍展開環と作用素の主表象の間を関連付け,作用素のB-W公式を書き下した.注目すべき点は,Sp(1),Sp(n)にそれぞれに依存して二つの形のB-W公式を得ることである.Sp(1)のB-W公式は曲率項がスカラー曲率にしか依存せず,その事実から正四元数ケーラー多様体上の既存の消滅定理及び作用素の固有値評価を容易に導ける.一方で,負四元数ケーラーの場合には,両方のB-W公式を使う必要がある.これは四元数ケーラー幾何の研究が正,負によって何故異なるかという理由の一つであると考えられる.また,今後の研究課題としてB-W公式を用いた四元数ケーラー多様体の局所剛性の証明が挙げられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasushi Homma: "Casimir elements and Bochner identities on Riemannian manifolds"Progress in Mathematical Physics, Birkhauser. 34. 185-200 (2004)
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[Publications] Yasushi Homma: "Universal Bochner-Weitzenbock formulas for hyper-Kahlerian gradients"Trends in Mathematics, Birkhauser. (掲載予定).