2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01253
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
平田 大介 東京理科大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Cauchy問題 / 放物型方程式系 / 爆発現象 |
Research Abstract |
次のCauchy問題の滑らかな局所解u=(u^1,【triple bond】,u^m)が時間大域解にまで延長可能性について考える: 【numerical formula】 ここで,m【greater than or equal】2,|▽u|^2=Σ^m_<i=1>|▽u^i|^2.また,"縮小写像の原理"に基づいた議論によって,任意の初期値u_0∈C^1_b(R^n,R^m)に対して時間局所的な古典解uが一意に存在することが示される.そして解uの最大存在時間Tはノルム‖▽u‖_<L^∞>にのみに依存することも容易にわかる. この問題のポイントは方程式がベクトル値(m【greater than or equal】2)にある.単独方程式の場合(m=1),υ=∫^u_0e^<s^2/2>dsと変数変換を施すと,線形熱方程式υ_t=Δυをみたし,これにより任意の初期値u_0∈L^∞(R^n,R)に対して,なめらかな大域解uが必ず得られる.一方,ベクトル値のとき,有限時間でなめらかさを失いうることがある特別な幾何学的シチュエーションにおいて知られている.例えば,単位球面S^<m-1>に値をとる調和写像の熱流である次のCauchy問題: 【numerical formula】 は,n【greater than or equal】3かつm=n+1ならばある回転対称な初期値u_0に対して解uは有限時間で特異点を形成することがCoron-Ghidagliaによって示された.さらに,n=2かつm=3のときも,有限時間での爆発現象が起こることも後に示された(Chang-Ding-Yeによる). したがって,本研究では幾何学的な拘束条件を取り除いたときには,爆発現象についていったいどのようなことがわかるかに興味がある.得られた結果は次である: 定理.任意のε>0に対して,|u_0|=1+εなる初期値u_0の族が存在して,L^∞ノルムが有限時間で爆発する解uが存在する(これは具体的に構成される).n,m【greater than or equal】3のとき,‖u_0‖_<L^∞>【less than or equal】1で無限遠方で0になるような初期値u_0が存在して,その解の▽uは有限時間で爆発する. この結果を論文としてまとめた.論文雑誌に投稿中である.
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