2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造制御におけるDNA高次構造の役割の1分子DNA微小操作を用いた解析
Project/Area Number |
03J01258
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松浦 俊一 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒストン / クロマチン / ヌクレオソーム / 1分子観察 / 蛍光物質 / 蛍光顕微鏡 / FRET / DNA-タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
近年、クロマチン構成因子であるコアヒストンの可逆的な化学修飾が遺伝子発現制御に与える影響など、ヒストンタンパク質を中心とした機能解析が盛んに行われているが詳細な反応機構については未だ解明されていない点も残されている。そこで、顕微鏡視野内においてDNA1分子レベルでのヌクレオソームの挙動をリアルタイムで蛍光観測できればクロマチン構造変換の動態をさらに詳細に解析できると考えられる。本研究ではレーザーマニピュレーション技術を用いたDNA1分子の形態制御に加えクロマチン構造変換をピストンの挙動からリアルタイムで解析できる観察系の構築を目的としており、まず4種類の鶏赤血球由来コアヒストン(H2A,H2B,H3,H4)を対象とした蛍光標識を試みた。蛍光物質によるヒストン表面の一様な修飾はヒストンのDNA結合活性を低下させ、またヌクレオソーム間相互作用を阻害することが考えられる。そこで本手法ではポリヌクレオソームの状態でコアヒストン表面を蛍光物質により修飾し、その後、溶離・回収した。本手法により得られた蛍光標識ヒストンは、蛍光物質による修飾を受けているにもかかわらずクロマチン再構成後のゲルシフトアッセイによりDNA結合活性を保持していることが示された。また、溶液中においてλDNA-標識ヒストン複合体を1分子レベルで蛍光観測することに成功した。本研究では次にDNA分子を蛍光標識し、クロマチン再構成におけるDNA-ヒストン間相互作用を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により解析する手法についても検討した。その結果、ヒストン濃度の増大にともなった蛍光強度の変動が確認された。このことはDNA-ヒストン複合体の形態の違いを蛍光強度によって評価できることを示唆している。 以上の研究成果は、第26回日本分子生物学会年会にて発表された。
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Research Products
(1 results)