2005 Fiscal Year Annual Research Report
環状暗視野走査透過電子顕微鏡像の画像処理による微小領域の構造決定
Project/Area Number |
03J01290
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中西 伸登 東京理科大学, 理学研究科物理学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 最大エントロピー法 / 走査透過電子顕微鏡 / 電子線エネルギー損失分光法 |
Research Abstract |
平成17年度は主に2つの課題について研究を行った.まず,一つ目は環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF STEM)像の問題点であるノイズの除去処理の開発である.これまでのノイズ除去法では人為的に選択されたパラメータが必要で,格子欠陥を含む像などに適用するには困難な点があった.そこで,最大エントロピー法(MEM)を基本とし,実験で得られるパラメータのみで処理できる画像処理の開発を行った.MEMでは実験像に含まれるノイズの分散とLagrange未定定数の2つのパラメータが必要である.まずノイズの分散はHAADF STEMの実験条件から決定できる情報限界を用いて見積もることができることを示した.また,Lagrange未定定数は処理中の計算において収束する値の中で最も小さな値を選ぶことで最適な処理結果を得ることを示した.これらの行程を処理に組み込むことにより人為的パラメータの必要がないHAADF STEM像のノイズ除去法が開発できた. 二つ目の課題はhigh-k膜の構造,組成および電子状態の同時測定である.近年ではHfなどの誘電率の高い(high-k)物質であるが,このような物質は作成条件により構造,組成や電子状態が変化するため,薄膜化した試料での解析が不可欠である.そこで,HAADF STEM法および電子線エネルギー損失分光法(EELS)を用いて解析を行った.まず,HAADF STEM像からこの薄膜はSi基板と誘電体層の間に中間層があることが観察された.HAADF STEMの解析により,誘電体層の最もHf濃度の高い領域はHfO_2のみで形成されていることが明らかになった.また,各層でEELS測定したところ中間層ではSiO_2で形成されていることが分かった.界面付近ではより詳細に解析したところ誘電体層と多結晶Si層の間に若干のSiO_2が含まれることが明らかになった.
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Research Products
(2 results)