2004 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性高分子へのイオンビーム照射による細胞シートの形成及び人工臓器開発への応用
Project/Area Number |
03J01291
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
世取山 翼 東京理科大学, 大学院・理学研究科物理学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオンビーム / ポリ乳酸 / 生分解性 / 細胞チップ / 細胞シート |
Research Abstract |
本研究では、イオンビームを生分解性高分子材料であるポリ乳酸シート表面に照射することにより得られる水溶液中において自発的に剥離する薄膜の物性とその機序の解明を目的とした。また、細胞シート・細胞チップ・選択的細胞接着性を兼ね備えた表面の再生医工学領域におげる利用も検討した。 ポリ乳酸シートにHe^+,Kr^+イオンを50,100,150keVで1×10^<13>〜1×10^<15> ions/cm^2照射した。He^+イオンを150keVで1×10^<15> ions/cm^2照射した試料を水溶液中に浸漬すると自発的に薄膜を剥離した。イオンビーム照射試料の断面を電子顕微鏡で観察すると母材と界面の間に空隙が形成されていた。また、照射層の詳細な分析により、ポリ乳酸シート表面にイオンビーム照射を行うことにより形成される薄膜はく照射イオンの母材への局所的なエネルギー付与により形成され、水溶液中で残りの結合を加水分解されることにより誘発されることが示唆された。また、イオンビーム照射された表面は良好な細胞接着と増殖能を示し細胞の増殖のための足場として機能していることが分かった。この自発的に剥離する薄膜を用いて細胞シートの形成が可能であることを示した。また、パターン化イオンビーム照射を行うことによって薄膜をミクロンレベルのパターン化することによる細胞チップ及び細胞スフェロイド形成も可能であることを示した。 以上、イオンビームをポリ乳酸シート表面に照射することにより得られる薄膜は細胞の足場として機能し、シートを積層化することにより細胞を三次元的に培養することが可能であり生体外における組織の構築などへの応用の可能性を示した。また、マイクロパターン化によるチップ化の技術は、タンパク質分解酵素を用いずに細胞を1個もしくは数個単位でその活性を失わずに行うデバイスの開発が可能であることを示した。
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Research Products
(5 results)